リングの約束5 | turugiのブログ

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好きな人 :家族、追っかけてるRyu Siwon それから永遠のヤングマン秀樹!

「おい!大友飲んでるか?」

「はい」


今夜は移動が決った社員の送別会だった。

(今夜は 飲んで 全てわすれよう・・・)

投げやりな気分で 空いたグラスにビールをついでいると

「お先に失礼します 大友さん」

吉田佳代という 女子社員が挨拶に来た。

「もう帰るのか?」

「はい、それでは・・・」

オレの横で彼女は 飯田に合図を送った・・・。

案の定 しばらくすると飯田が出て行った。

「おい 飯田何処へ行くんだ?」

「こ・・浩太郎・・・」

「もう帰るのか?」

「あぁ・・・」

「家へ?それとも佳代ちゃんのところか?」

「浩太郎・・・・」







夕食を済ませて 食器をかたずけているところへ

志保から電話がありました。

「あ、麻穂?! 私!」

「志保?」

「うちのダンナと浩太郎君が酔って大喧嘩したらしいの!

 すぐk病院へ来て!」


浩太郎と飯田さん・・・いったい何があったの?・・・・



病院へかけつけると

ソファに志保と飯田さんがいました。

私に気がついた志保は

「浩太郎君はあっちのイスに・・・酔いつぶれちゃって・・・」

大きな怪我ではありませんでしたが 顔は傷だらけで

肘のあたりのシャツは破れ 包帯で覆われた腕・・・

「浩太郎・・・・」


志「うちのダンナ・・・会社の女の子と浮気してて

  それで浩太郎君が怒って 殴ったって・・・」


背後から 同じ会社の男性二人が

「あのー僕達はこれで・・・」

志「どうも お世話になりました・・・」

「あ・・いいえ・・・」

去っていく社員男性二人は

 「飯田さんの奥さんも大変だよな・・・」

 「女好きのダンナをもつと 苦労するぜ・・・」

二人は小声のつもりだったのかもしれませんが

私と志保には はっきり聞こえました。

「志保・・・・・・」

「・・・・・ダンナを連れて帰るわ。麻穂も浩太郎君を送ってあげて・・・・

 絶対、浩太郎君をはなしちゃダメよ。

 どんなに追い返されても 諦めちゃダメよ・・・

 私も浩太郎君みたいな人を好きになればよかった・・・・」

「志保・・・・」

志保は酔った飯田さんを連れて帰りました。


浩太郎はイスに座ったまま体を前に倒し目を閉じたまま。

私は 浩太郎の前にしゃがみこんで

大きな手にそっと触れました・・・・。

(あぁ・・・浩太郎の手・・・浩太郎の温もりだ・・・)

痛々しい浩太郎を前に 涙がとまりませんでした・・・。



タクシーを降り なんとか浩太郎の家の前まで戻ってくると

気分が悪いのか 私を少し押しのけ吐いた浩太郎・・・。


激しい息づかいのあと・・・

「うっ・・・・・」

浩太郎は肩を震わせ 泣いていました・・・・


「浩太郎・・・・・」

「・・・麻穂・・・なんで・・・・・あんなことしたんだ・・・・

 誰か・・夢だって言ってくれよ!・・・

 目覚めたら現実は・・・・・何事もないって・・・・たのむ・・・・」

「浩太郎・・・・・」

私は浩太郎の背中にしがみつきました・・・。

(私は なんてことをしたんだろ・・・

 こんな大切な人を こんなにも傷つけてしまった・・・

 私が ここまで彼をボロボロにした・・・・・)


しばらくは 浩太郎の大きな背中を支えながら 同じように泣いていました。





朝・・・・オレは自分の布団で目が覚めた・・・

何となく 夕べの出来事を覚えている・・・・・・・・・。

水を飲もうと台所へ行くと


(浩太郎の好きなおかずを 鍋に作っておいたから 残ったら冷蔵庫へ入れてね)

置手紙があった・・・・。

オレは 蓋を開けてみたけれど 口にすることはできず

顔を洗い 仕事へ出かけた。



昼休みを少し過ぎた頃

1階にお客が待っているといわれて 降りていくと 志保ちゃんだった。

「ごめんなさい 忙しいときに・・・傷の具合はどうですか?」

「うん 大分よくなったよ・・曲げると少し痛いけど・・・」

「私のために・・・ありがとう・・・・」

「いや・・オレも酔っていて ついカッとなってさ・・・

 飯田の方はどう? あいつは今日 展示会場だから 会ってないんだけど・・・」

「痛いみただけど 痛いって言えなくて 密かにシップ貼ってるわ」

「(笑)ハハハッ・・・・・志保ちゃん・・・

 はっきり言うけど あいつの性格はもう治らないよ。

 きっと今の女と別れても またすぐ 別の女と付き合うよ・・・

 それでもいいのか?」

「しょうがないの・・・バカだと言われるかもしれないけど

 好きなの・・・あんな人でも・・・」

「志保ちゃん・・・」

「浩太郎君も・・・・許してやって 麻穂のこと・・・

 あの子は本当に心から反省してるわ」

「・・・・・・・・」

「麻穂ね・・・親に勘当されたの・・・」

「えっ?」

「会社でもいろいろ噂されてる・・・でも、自分がやったことだと

 逃げることなく 真正面からうけとめてる・・・

 あんなことしちゃったけど 麻穂は本当に誠実な子だわ・・・

 そんな麻穂が浮気しちゃうなんて よほどの事じゃない?」

「・・・・・わかってる・・・でも、結婚前に・・・こんな・・・」

「結婚前だったからこそ・・・だと 思うの」

「・・・・・・」

「あなたの気持ちは痛いほど分かる・・でも もし ダンナが麻穂のように

 誠実に謝ってくれたら・・・心から私のこと大切だと 思ってくれたら・・・

 私だったら・・・きっと・・・・許す・・・

 どんなに悔しくてもどんなにハラがたっても 自分の心には嘘はつけない・・・

 好きなものは好き・・・しょうがないの・・・そうでしょ?」





家に帰ると ネクタイを緩めながら 床に座り込んだ・・・

日中・・・志保ちゃんの言った言葉が 頭からはなれない・・・

いや・・・そうじゃない・・・まだ 麻穂のことが離れないんだ・・・・。


考えこんでいると

「浩太郎・・・・帰ってる?」

玄関のドアを叩く 麻穂が言った・・・・


もう 逃げられない・・・オレは麻穂と向き合い 話をしようと

麻穂を部屋へ入れた・・・・・・。