こんにちは

ご訪問ありがとうございます。



前回のブログで、野良猫の最期について

投稿しました。

それで、思い出したことがあります。



今から数年前のことです。

我が家の裏手の道路から、急ブレーキの

音と同時に「ドン!」という衝撃音が

聞こえてきました。


「事故だ!」


そう思った私は、お勝手口のドアを開け

外を見ました。

すると、路上に停めた車のそばに男性が

立っていました。


男性

「すみません!

 猫が飛び出してきて轢いてしまって…。

 動物病院に連れて行きたいんですけど、

 近くに病院はありますか?」


「車で4、5分の所にありますよ。」


私は外に出て道順を教えてあげながら、


「へぇ、ちゃんと病院に連れて行って

 あげるんだ。」


内心そう思っていました。



そして、そのまま車に猫を乗せるのは

大変だろうと思い、段ボール箱に

使い古しのバスタオルを敷いて、

男性に渡してあげました。


男性

「ありがとうございます。

 あの…、首に飾りがついてるんで、

 多分ご近所の飼い猫だと思うんですよ。

 なので飼い主さんが分かったら、

 この名刺を渡して貰えますか。」


と言い、私に名刺を渡してきました。

そして男性は猫を乗せ、去って行きました。



私は、その男性の誠実な対応に

感心していました。

そして、なんとか力になれれば…と思い、

事故現場のそばにあるゴミ集積所に

貼り紙をしました。


「○月○日にここの前で猫が車に

 轢かれる事故がありました。

 猫は三毛猫で、赤い色の首輪に

 赤と白のつまみ細工の花飾りが

 付いていました。

 お心当たりのある方は、

 隣の家△−□の○○まで

 お越しください。

 宜しくお願い致します。」



それから1ヶ月くらい経った頃でしょうか。

見知らぬ女性が我が家にやって来ました。


「あのぉ、

 ゴミ置き場の猫の貼り紙のことで

 伺ったんですけど…。」


その方は、二週間程で剥がした貼り紙の

ことを、人伝えで聞いて来たという

ことでした。

私は状況を説明しながら、

お預かりしていた男性の名刺を渡しました。


「早速、連絡してみます。

 ありがとうございました。」


女性は帰って行かれました。



それから数日後、

再びその女性が菓子折りを持って

我が家にやって来ました。


「連絡は取れましたか?」


女性

「ええ、取れたんですけどね…。

 猫は病院に連れて行ったけど、

 すぐに死んでしまったんだそうです。」


「あぁ、そうだったんですか。

 それは残念でしたね。」


私がそう言ったのに被せるように

その女性は、急に怒ったように

話し始めました。


「それがね、ひどいんですよ。

 死んだからって、

 そこのペット斎場に連れて行って、

 他の犬や猫と一緒に焼いたから、

 手元に骨はないって言うんですよ。

 あんまりでしょう?」


私は答えに困っていました。



私の家の近くにはペット斎場があり、

動物のお墓だけの霊園もあります。





ペット斎場では遺骨の引き取りを

希望すると1頭だけで火葬もします。

しかし、遺骨の引き取りを希望しない

場合は複数頭まとめて焼き、

遺骨の一部は愛玩動物納骨堂に納め、

残りは石積埋立処分場に

埋め立てられるのです。



猫を轢いてしまった男性は、

やはり飼い主ではないので

遺骨の引き取りまでは

希望しなかったようです。


「かさねがさね残念でしたねぇ。」


そう答えるのが精一杯でした。

だって、私は


「それって普通じゃない?

 むしろ動物病院に連れて行ったり、

 火葬してくれたり、

 よくやってくれたと思うけど。

 連絡先まで知らせてくれたんだし。」


それが本音でした。

それでもそう言うわけにもいかず、

差し障りのないように

答えるしかありませんでした。



当時は我が家ではペットは

飼っていませんでした。

そして、わんちゃんを2匹飼っている今、

やはりあの時のことを思い出しても、

飼い主が現れるかどうかもわからない

見知らぬ猫の遺骨を、

手元に置いていなかったのが許せないと

言った女性の怒りに同調することは

できませんでした。

轢いてしまった男性に対して怒る前に、

逃してしまった自分の管理に

落ち度はなかったのか、

振り返る気持ちを少しは持っても

いいのになと思う出来事でした。