http://ameblo.jp/turtlehaze/entry-10443855479.html の続き


通勤電車やバスに乗り、席に腰掛けると、ちょうどオヤジの腰のあたりに視線がいく。


最初に目に飛び込んでくるものは、ベルトのバックルである。


これがけっこう目立つのだ。

種類として、一番目につくのは、世界のメジャーブランドのものである。さながら見本市状態だ。

ピエール・カルダン、ピエール・バルマン、ヴァレンチノ、ジバンシィ、ダンヒル……、あとはなんだったか。つまりロゴマークがそのままバックルになったやつ。もちろんそれらは全部いわゆるパテントものである。そしてたいてい金メッキが施されている。


中にはエルメスやグッチといった本物志向(?)の御仁もいることとは思うが、そのような玉石混交の真っ只中では、その「こだわり」がまったく通用しない。それどころか、悲しいかな「Hマーク」や「Gマーク」も安っぽく見えてしまうことすらある。


もっとも、ベルトに何十万も払えるような人は、通勤電車などには乗らんというのは、日本以外におけるエルメスやグッチの本来の価値である。


さて、パテントものとはいえ、世界の名だたるブランドが勢ぞろいしているわけだが、その入手ルートがとても気になる。勝手に推測してみよう。


まず、なにか結婚式とか祝い事のお祝い返しとしてもらった。


これはよくあることと思われる。俺たちの日常でも、同じようなブランドのタオルやシーツなどもらうことが多いではないか。

オヤジぐらいの年齢や地位になると、例えば甥や姪などのお祝いなどにはけっこう包んだりするのだろうから、相手も、タオルやシーツで済ますわけにはいかない。

かといって、そんなにお金もないだろうから、手ごろな値段で見栄えがし、なんか重宝がられるものはないかと考え至ったとき、ブランドベルトに落ち着くのではないだろうか。

一応でも、自分のファッションに対して、なんらかの好き嫌い(センスとかスタイルとか、そういう立派なものではなくて、単なる好み)が存在すれば、そのまま包装紙ごとリサイクル・ショップ行きの品物である。

「贈答品」というのは、嬉しくも悲しくもそういうものだ。しかし、オヤジは、なんの迷いもなく、そのベルトをして見せる。もしかしたら「○○のやつ、奮発したな」ぐらい思って悦に入っているかもしれない。

さらに、かあちゃんとペアだったりするかもしれないところが、この手のブランドベルトの恐ろしいところである。(続く)