ガスライティング
「ガスライティング」という言葉と
その意味はある程度知ってはいましたが
今まで日常の情報の中に出てきたことは
一度もありませんでした。
ところが先週録画しておいたテレビドラマを
まとめて倍速で見ていた時に
ある男性が「ガスライティングを受けていた」
というような台詞を言ってました。
ドラマの題名や内容はほとんど
覚えていないのですが、この場面で
「ガスライティング」を使うのか⁉と
言葉だけが鮮明に記憶に残りました。
と言うことで、
ガスライティングについて少し
書いてみることにしました。
ガスライティングの語源は
夫が妻の正気を失わせるために、
精神的に追い詰めていく様子を描いた
イギリスの演劇(1938年)や
映画「ガス燈(ガスライト)」(1944年)に
由来します。
あらすじとしては
妻が正気を失ったと当人及び周りの人に
信じ込ませようとして、夫が周囲の品々に
小細工を施し、妻がそれらの変化に気付き
指摘すると、夫は妻の勘違いか記憶違いだと
主張してみせる。
題名は、家の薄暗いガス燈に由来し
妻は灯りが薄暗いことにすぐ気付くが
夫は妻の思い違いだと言い張るのであった。
日本ではあまりなじみのない言葉ですが
ガスライティングは、上下のある人間関係において
力の不均衡を利用して起こることが特徴です。
夫婦・恋人や友人などの近い人間関係だけでなく
上司と部下、先輩と後輩などの会社や学校などでも
起こり得ます。
特徴的なのは、この行為が暴力や脅しではなく
一見すると注意や心配、相手の為の助言という形を
とることから始まります。
「全てあなたのことを思っている言葉なのに」
「このままにしたら大変な事になる」
「あなたは経験不足で解っていない」
「あなたは無駄に細かすぎで気にし過ぎだ」
「あなたの意見は正しいが、重要ではない」
「私がいつそんなことを言った?あなたの勘違いでしょう!」
「私じゃなかったら誰が相手にしてくれるの?」
「私を怒らせないでくれ!」
「私はこういう人だから、あなたが理解してくれないと!」
などのように例を上げたらきりがありません。
相手を心配する先回りの情報提供やアドバイスから
その人も持っていた自信を失わせ、時間をかけて
可能性を制限しながら巧妙に支配していくのです。
特に信頼している関係においては、ガスライティング
をされている本人も気付きにくく、周りの
第三者も発見しにくい場合が多いです。
ガスライティングに限らず現代は巧妙な
心理操作による詐欺行為などがあふれています。
「人を見たら泥棒と思え」のように何でも
疑うことが良いとは思えませんが
現代が心理戦時中である事は間違いありません。