影と陰(かげ)
今回は陰陽の陰は(かげ)と読みます。
「暑さ寒さも彼岸まで」と昔から
言われ寒さも緩んできた今日この頃です。
これから紫外線がだんだんと強くなり
夏の暑い日差しに向かって季節が移り
変わっていきます。
日差しの強い時には「ひかげ」が恋しく
なりますがこの場合のひかげは
日向(ひなた)に対して日陰となります。
影と陰はかなり異なる意味を持っています。
「陰」の部首は左半分の「こざとへん」です。
こざとへんは段のついた土の山の形をしており
「おか」とか「ふくらんだところ」の意味が
あり、「陰」の主な使い方の一つに、「場所」
を示すことが挙げられます。
意味としては
日光のあたらない所、隠れた所、目立たない所
目の届かない所、その人のいない所などから
「木陰」「陰で支える」「陰で悪口を言う」
というような使われ方をします。
「影」の部首は「さんづくり」です。
さんづくりは模様や色彩など、目に映る色や形
という意味を持っている部首です。
このことから、「影」は主に、場所ではなく
「形」を意味しています。
「物体が光を遮った時、反対側に出来る黒い形」
「光が反射して、水面に映る物の形」
いづれも影の意味で「形」を表しています。
同語源で、似たような意味を持つ「陰」と「影」
ですが、全く反対の意味もあります。
「影」は「光」の意味もあります。
「日、月、星などの光」の意味です。
ですから、「月の影」は「月の光」或は
「月の姿」などのことですし、
昭和の大ヒット曲「星影のワルツ」は
「星の光のワルツ」「星明りのワルツ」
ということになります。
一方、「陰」には光の意味はありません。
また、「入り日影」という言葉もあり
これは「夕日の光」のことで、太陽が
沈んでいくときの光です。
そのため、「夏の日影」と書けば
「夏の日差し」になり、「日陰」とは
まったく違う意味になります。
ですから、漢字で書かない限り
「日影が強いから、日陰に入ろう」と
言っても意味は通じません。