保存食の停滞
停滞とは進化の反対で
動きが無く停止して変化のない事
進化の反対は退化と思いたくなりますが
退化も必要なくなった部分や機能が
失われて行くという意味では
動きが伴うので進化の範疇と言われています。
保存食は停滞などしていなくて
絶えず進化していると反論が出てきます。
確かにその通りで
19世紀の軍用食として開発された
瓶詰や缶詰から始まり、レトルト食品
冷凍食品、真空パック、フリーズドライ製法など
保存食に関する新技術が開発され続けています。
しかし、これらの新技術の開発に絶対に
必要なものがあります。
それは「電気」です。電気が無ければ
機械を動かすことができませんので
新技術の開発はできません。
でも、電気のなかった時代にも
保存方法は長い歴史の中で改良が重ねられ
天然の素材、塩、砂糖、酢などを利用した「漬物」
ほかにも自然界のある様々な現象を利用した
天日に干すことで保存性を高めた「乾物」
煙でいぶした「燻製」があります。
腐敗菌は水分が少ない所では活動できず
水分を35%から45%以下にすると
食品の長期保存が可能になると言われています。
収穫したてのお米は水分量が20%以上
あるのですが、さらに長持ちさせるために
お米が割れやすくなる手前の14.5%まで
乾燥させているそうです。
また、水分量を調整するのではなく
有用な微生物の働きを促進して
腐敗を抑える「発酵食品」があります。
これら「漬物」「乾物」「燻製」「発酵食品」には
梅干し、沢庵、その他の漬物
干しシイタケ、干し柿、乾燥芋
切り干し大根、味噌、醤油、納豆
ヨーグルト、チーズ、お酒などがあり
電気がない時代に
人類が長年かけて作り上げた保存方法
で作られた食品を
数え上げればきりがありません。
どの食品も日常必ず一つ以上は
食べることがあるものばかりです。
「漬物」「乾物」「燻製」「発酵食品」は
昔ながらのやり方で色々な食品に
応用することができます。
電気を使わずに、これら4種の他に
天然の素材や、自然界にある現象を
利用した新しい保存食が発見されて
いないように思えます。
ということから、ある時点を境に
保存食は停滞してしまったと
思う次第です。