酉の市
酉の市とは、江戸時代から続く関東を中心とした
各地の鷲(おおとり)神社の年中行事です。
11月の十二支が「酉」に当たる日に「酉の市」が立ち、
縁起物がたくさんついた熊手が売られます。
新年の開運招福や商売繁盛を願うお祭りとして
親しまれています。
酉の日は十二支の一つですから12日ごとに
巡ってきます。年によっては3回ありますが
今年は一の酉が11月11日土曜日(癸酉)
二の酉が11月23日木曜日(乙酉)です。
地支に「酉」が来る干支は全部で五つ
残りの三つは「丁酉」「己酉」「辛酉」です。
旧暦は六十干支で巡りますから12分の1で
五つということになります。
酉は五行では「金」に配当されます。
五行的な考えでは金の財貨を熊手で
かき集めて新年に備えると単純に
思っておりましたが、「酉の市」の
由来に関しては当然諸説ありますが
今回に限っては五行の金の酉は
関係がないようです。
日本の年中行事が陰陽五行に
関連していることが多いので
勝手な解釈をしていました。
神道の解説によると
大鳥神社(鷲神社)の祭神である日本武尊が
亡くなったとされる11月の酉の日に
大酉祭が行われます。この日に立った市が
起源ということです。
また、浅草の鷲神社によれば、日本武尊が
戦勝のお礼参りをしたのが11月の酉の日
その時松の木に武具となる熊手を立てかけた
ことから熊手が縁起物として扱われるように
なったとされています。
仏教の酉の市の由来は
1265年(文久2年)の11月の酉の日に
日蓮上人が上総国鷲巣(千葉県茂原市)の
小早川家(大本山鷲山寺)で、国家の平安を
祈ったところ、金星が明るく輝き、鷲の背に
乗った鷲妙見大菩薩が現れたことから、後に
浅草の長國寺では11月の酉の日に開帳される
ことになったということらしいです。
農民たちの収穫祭としては
花又(東京都足立区)の鷲妙見大菩薩(鷲大明神)
の近在農民たちが行っていた酉の日の収穫祭が
起源であるという説もあります。
というように陰陽五行に関係のない諸説を経て
酉の市の盛り上がりは浅草の鷲大明神に移り
最も盛大な酉の市として現在に至っているようです。