クロスモーダル賞
クロスモーダル賞という「賞」は
現在のところありませんが
「クロスモーダル現象」はあります。
どういう現象かというと
「私たちの五感をだましてしまう!
不思議なクロスモーダル現象」
という題で先週の日曜日の夜
NHKのサイエンスZEROで放映されました。
内容は出演者の女性に二つの違う包み紙に
入ったチョコレートを順番に食べてもらう
食べる時に、ヘッドホンをしてもらい
別々の音楽を聞かせます。
最初の音楽を聴いたときに食べたチョコは
甘くまろやかに感じ、次の音楽を聴いた時に
食べたチョコは苦味と酸味を感じたと回答しました。
でも、包装紙で違うように見せていましたが
実際に食べたチョコレートはどちらも同じものでした。
他にも、色々な実験や研究などを紹介していました。
要するに、人間の持つさまざまな感覚は
独立したものではなく、相互に影響し合っていて
音が味を変えたり、映像だけで触覚を感じさせたり
映像の効果によって匂いや味の感じ方を変えたりする。
相互に影響し合っていることにより、脳が錯覚を起こし
五感がだまされてしまう現象のことを
「クロスモーダル現象」というそうです。
今後様々な領域でクロスモダール現象が
活用できるとして研究が進んでいるという番組でした。
クロスモーダル現象という名前は初めて聞きました。
人間のもつさまざまな感覚は独立したものではなく
相互に影響し合っている。という事は
陰陽五行では当たり前のことで五行の一部の現象
について「クロスモーダル現象」という名称
がついているとは思いませんでした。
今回は五行について深堀はしません。
「クロスモーダル現象」という難しい名称で
最新の研究に値するのかもしれませんが
ここで登場するのが「かき氷」です。
かき氷と言ってもかき氷にかける
「シロップ」の方です。
結論を言えば、「かき氷のシロップは
着色料と香料が違うだけで実はどれも
味の成分は一緒」ということです。
人は食べ物の味を「舌」で判断していると
思いがちですが、実は味覚の情報に加え
視覚と嗅覚の情報を脳で判断するることで
味を決定しています。
例えば、イチゴ味のシロップには「イチゴ=赤」
というイメージで赤の着色料が用いられ
匂いをイチゴ香料で再現しています。
色と同様に匂いも「イチゴの匂い」という
情報が脳にインプットされているために
イチゴ香料から感じる匂いで脳が
「これはイチゴ味だ!」と判断してしまいます。
この二つの錯覚により脳はイチゴと判断してしまった為
他のシロップと同じ味でもイチゴ味という
幻の味を味わってしまうのです。
このシロップのトリックはお店で「かき氷」を
出していた時に知りました。
これこそ正に「クロスモーダル現象」
ではないでしょうか!!
「クロスモーダル現象」については
大まかですが、世界では1979年頃から
2000年以降は様々な研究や論文が
発表されているようです。
日本でも2009年頃から論文などが
出始めているようです。
何が言いたいかと言えば
各種のシロップを作ってきた明治屋さん
明治屋が自社でシロップの製造を始めたのは
1924年頃からで、1929年に発売した
フルーツシロップとコーヒーショップは
たちまち評判になったそうです。
基本のレシピは、果糖ブドウ糖液糖と酸味料
あとは香料と着色料を変えるだけ
1965年以降に冷蔵庫が各家庭に普及して
自宅でかき氷が作れるようになってから
本格的なかき氷シロップ「マイシロップ」の
発売に発展していきます。
1924年は大正13年です。
明治屋はこの時からすでに「クロスモーダル現象」を
使った商品を開発し販売することに
成功していたわけです。
明治屋さんとは縁もゆかりもありませんが
「クロスモーダル現象」とかいう名称で
最新の研究とか言われると「なんだかな~」
という感じになり「昔の人は分かっていた」
という思いから明治屋さんには
「クロスモーダル賞」を差し上げても
良いのではないかと思う次第です。