近いうちに、香川に家族旅行に出かけようと思います。

 深い意味はありません。ワクチンも打ったし、別に構わないでしょう?

 海外どころか、四国すら行ったことのないアイです。

 本場の讃岐うどんを食べて、まだ元気なうちに写真を残しておきますよ。

 

 

 

 

今年読んだ中で、最も心が震えた本でした。

とはいっても、アイだけかもしれませんね。

読んでも全く理解できないという人もいるでしょうから、

おすすめはしません。

 

作者の山下和美先生は61歳。漫画家として十分に成功を収め、

世田谷に数寄屋造りの豪邸を建てました。

 

人生をすごろくに例えるなら、上がりといっていいでしょう。

健康面でも問題なさそうだし、余裕たっぷりの余生を楽しめば

よかったはずです。

 

それをなんとまあ、運命とでもいいますか。

 

自宅の近所にある古い洋館に、先生は惚れ込んでしまいました。

その洋館が売却されて解体が決定したのを知り、待ったをかけたのです。

いざとなれば、自宅を売却してでも自分が買うと。

 

しかし、人気作家といえど大豪邸を買うほどの資金はないようです。

漫画家という職業や年齢を考えても、住宅ローンの審査に通るかどうか。

その洋館が立つ土地は敷地面積にして200坪。

仮に買えたとしても、修繕費や維持費はかなりの金額となるでしょう。

クラウドファンディングを呼び掛けているようですが、

それで足りるのでしょうか。

 

尾崎邸保存プロジェクト一同

 

荒木飛呂彦先生の『岸部露伴は動かない』シリーズで、

マンガを描くために私財を投げうって山を買ったことにより

露伴先生が破産する、なんてエピソードを思いだしてしまいました。

スケールは違えど、まさか現実でそんなことをする漫画家がいようとは。

 

客観的に見れば、無意味な話です。

古い家は、いつか建て替えなければなりません。

解体後には、敷地内に家が7軒建てられる予定だったそうですが、

それはそれで良いこともあります。

 

だけど、そんなことはどうでもいいんですよ。

気に入ったものが壊されようとして、今の自分ならそれを守れるかもしれない。

これぞexcitingです。リスクを取る生き方を選ばなければ、味わえないものです。

 

アイは残りの人生で、あと何回excitingを味わえるだろうと思ってしまいました。

 

 

 

 

かなり前の作品で、もう手元にすら残っていませんが、

古い店を壊す話は覚えています。

 

感傷に意味はない。その古い店だって、さらにその前の古い店を

壊して建てられたものなのだから、というエピソードだったと思います。

 

あれから数十年。当時の主張とは真逆の行動をしているとしても、

新旧交代の話は、山下和美先生にとって重要なテーマなのかもしれませんね。