人気の児童書とのことで、読んでみました。
昔読んだ『アウターゾーン』という作品を思い出してしまいました。
あるいは、『Y氏の隣人』。
内容は、ほぼ同じといっていいでしょう。
ゲストのお相手を務めるのが、
太った女店主かエロ妖精かハゲた営業マンかの違いだけです。
この種の作品は、ストーリー展開が決まっていて、
マンネリになりがちです。
読者に飽きられないように、作者は手を変え品を変えしますが、
どれも一時しのぎに過ぎません。
ゲストに変容(良くも悪くも)を促す物語である以上、
そのお相手も変容していくのが自然のはずですが、
それでは物語の根幹が崩れてしまい終わりを迎える、
あるいは終わりを迎えないことに読者が飽きてしまう、
といったところでしょうか。
例えば、ラブストーリーでずーっと片想いが続いたら、
いい加減にしろよって思うじゃないですか。
アイが思うに、この種の作品を長期化する道があるとすれば、
ゲストと共に、そのお相手役も変容し続けていくしかないのでしょう。
それが面白いかどうかは、また別の話ですけどね。
ところで、『銭天堂』を読んで腑に落ちたことがあります。
リアルの世界も、同じだと。
薬局が、ただ薬を渡すだけの時代は、
確かに終わりを迎えつつあるのだと。
薬局薬剤師は、薬の適正使用及び渡した後のアフターフォローまで
視野に入れた仕事を求められるようになりました。
アイ自身、銭天堂を読んでて、「ちゃんと説明しときなさいよ。」
「何円だろうと売ったからには責任持ってフォローしてあげなさいよ。」と、
何度も思いました。
全て事細かに説明しろとまでは言いません。
特徴的な副作用の初期症状、想像しうる体調の変化。
顧客に余計な不安感を与えることなく、
起こりうる悲劇的な展開を回避できるように、
具体的な情報提供をするのがプロの仕事です。
アイ自身、そのレベルに達しているかどうか。
ふと自問自答してしまうことがあります。
試したりはしない(他人なんてどうでもいいと思ってるのも事実)、
指導なんておこがましい(その権限も与えられてない)
勧める程度の能力(できる限り良い道を選べるように)
少なくともアイの薬局を訪れてくれた人たちの健康を、
今日も祈ってます。