雨と鉄 | 薬剤師アイの生活日誌 

薬剤師アイの生活日誌 

 調剤薬局という特殊な職場の、実情について書きつづったブログです。

 意外に知られていないくすりに対する様々な知識などもアップしていきます。

 世間知らずといわれないように読んでいる、政治経済の本なども紹介していく予定です。

 こんばんは、アイです。

 最寄りの駅にあった100円ショップがつぶれ、代わりにマンガ喫茶がオープンしてるのを

見つけました。

 

 休日といえば100円ショップとホームセンターとゴルフの練習ぐらいしか行くとこのない

そりゃもー悲しい人生送ってるアイとしては、またひとつ居場所を失った気になったのですが、

せっかくだし、入ってみることにしました。NANAってそーいえばどうなったんだ?そろそろ誰か

死んだか。

 

 で、読んだのが結局コレ。

 

 

  


  全2巻というきれいにまとまった、読後感のさわやかな良作でした(≧▽≦)

 

  笑みを浮かべてリクライニングチェアにもたれかかり、天井を見上げて・・・

やがて舌打ちするアイ。

 

  しまった。

 

  そういえば少女コミックとかほとんど読まなくなったけど、あれは意識的に避けてたんだっけ。

  現実のアイとあまりにかけ離れてて、イヤになるから。

  



  ク○ヤさん、コメントありがとうございます。

 

  そうですか。なかなか難しい環境でお仕事をされているのですね。心中お察しします。

  散薬監査システムを導入したいという理由もわかりました。ムダですよ。どうせ

 年寄りには使いこなせません。

 

  おそらくご自分でも気づかれている通り、大事なことから、目を離していませんか?('-^*) 
 

  本来は必要ないと思ってますが、ク○ヤさんが今後もそこでやっていくおつもりなら、

調剤過誤を起こした時の損害保険に入っておいたほうが、いいのかもしれませんね。
  




  去年まで勤めてた職場の、元同僚のKさんから、飲みに誘われました。

  35歳の色っぽいお姉さんで、ゴルフが趣味。一緒にコースを回ったこともあります。

  横浜駅で待ち合わせ。


  時間よりちょっとだけ遅れてきたKさん。開口一番。


  「もっと外見に気を使いなさい!」

  

  ずびし、とアイを指さして言いやがりました。

  Kさんは赤のかわいいワンピに、白のキャミ、高いヒールというファッション雑誌に

 載ってそうな格好。色っぽいんだけど、やらしくない。姿勢のせいかしら。 

 

 それに対してアイは桜色のパーカーに細身のジーンズ、汚れが目立ってきたミズノの

 スニーカーです。

 

 「素材は悪くないんだから。そんなラフな格好ばかりしてちゃだめでしょ。

 もうあなたも適齢期なんだから、いつ何が(何があるというんだ)あってもいいように、

 臨戦態勢!いい?いつでも臨戦態勢よ!」  




  常在戦場ですか、姉さん。



  へへらへらと笑って、ごまかそうとするアイ。並んで歩き始めます。


 「もう服なんていくらでも買えると思うと、なんかバカらしくなっちゃいまして。

 そう言えば最近打ちっぱなしの近くにあるユニクロぐらいしか行った記憶がないです」


 「せめてクツぐらいちゃんとしなさい」


 「O脚になるようなものは、履かないんです。最近どう?ゴルフ行ってますか?」


 「んー、ふふふ、ちょっとね。そう言えばまだあのcallawayの古いヤツ。steelhead使ってるの?」


 「何言ってるんですか。初代steelheadはいまでもプロに使われる伝説の名器ですよ。

 あのスワリの良さ、金属バットを思わせるメタルの打感、どんなライからでもミスを防止する形状、

 最高です。」


 「ミスするじゃん」


 しょーもない会話をしながら、予約しておいた焼き肉屋へ。

 

 




 「改正の影響はでてますか?」

 

 「うん、だいぶ厳しいかも」

 

 ビールで乾杯した後、互いの近況を伝え合います。

 

 「服薬指導加算がとれなくなったでしょ。大学病院は後発品使用はいまのとこ、

それぞれの医師の裁量に任せるってことにしたんだって。だから後発品使用不可に

サインを入れてくる先生もけっこういるの。」


 まだ赤いとこのある特上タン塩をアミから取り、ぱくっと口に入れるアイ。ちょっとー、

まだはやくなーい?とKさんに言われましたが、聞こえないフリ。


 「だから先発品と後発品両方置いとかなくっちゃいけなくてねー。在庫ばかり

増えちゃってる。」


 「そりゃ大変ですねぇ、で、30%超えました?」


 「んーん。1月2月の分があるし。平均すると切っちゃった。」


 肩をすくめて、レモン汁を垂らしたタン塩を大ライスの上に乗せるアイ。

 お肉と一緒に大ライスの山を削って口に押し込んで、ビール飲んで、


 「うまい!」

  

  「・・・・・・よくビール飲みながらご飯食べれるねぇ」



 苦笑しながら、Kさんがトングを持って、次々と新しい肉をアミに並べてくれました。





  「勤務時間が大幅に伸びるみたい。交代制で、毎日20:30までだって。」


  1度ひっくり返したロース肉を、またひっくり返して、そう言うKさん。


  「いいことじゃないですか。」


  「また自分にはカンケーないからって」


  乗せればオッケーのせっかちアイに対して、Kさんは焼き肉はよく焼く派のようです。

Kさんサイドにある特上ロースにハシを伸ばそうとしたら、それはだめっと言われて

トングでガードされました。



 「19時からは夜間・休日加算です。夜勤当番はあるけど、それでも空いてれば患者さん

 は確実に来ますよ。やったほうがいい」


  ハシをいったん置くアイ。

  

 「そもそもなぜ、今回時間外加算の算定条件を緩和したか?あのド無能

 厚労省の連中は、大病院の勤務医の労働条件が悪いのは、開業医が日中しか働かないから、

 夜間救急などの労働負担が増えてしまうといいたいらしいの。

 で、今回の改定で開業医が夜間や休日も仕事するようになれば、勤務医の負担が減るだろうって

 理屈なのよ。」


 4つも年上のお姉さまに、エラそうに講義を始めるアイ。

 

 今回の診療報酬改定では、時間外診療についても内容が改められました。

 

 今までは開業時間を事前に届出をしていて、それ以外の時間で調剤行為をした場合に、

薬局は加算を算定することができました。つまりあくまで臨時ということです。

  

 実際のところ、東京では救急をやってる総合病院に付き合って行う夜勤当番とか、

休日診療では、だいたい時間外加算を算定することができるのですが、

ケチな神奈川県のような場合、うまくいかないこともあります。

 

 たとえば毎年お正月、病院の都合に合わせて店を開けている薬局があったとします。


 その場合、一般的に考えれば他は休んでるわけだし、特別料金の算定をしていいはずなのに、

毎年店を開けてるなら、それはおたくの薬局が国に届けてる通常勤務の時間でしょってことで、

特別料金を算定できないケースがあるのです。

 

  あくまで特別料金は、臨時でお店を開けた時しかダメよってのが、国の理屈でした。

 バカバカしくてやってらんなかったですけどね。 


 今回の改定で、そこは修正されました。病院は18:00から、調剤薬局はシャクに障ることに

1時間遅れの19:00から、特別料金を算定していいことになります。




「まあでも、一般薬も売ってる調剤薬局が結構遅くまでやってるのは、いいことよ。

アイはやんないけど)、後期高齢者制度のことといい、ホント厚労省ってのは、無能だわ。

開業医どもを働かせたいなら、もっと効果的な方法があるのに」


「どんな?」


「開業医って連中はね。医師優遇税制ってのがあんの。診療報酬が5,000万円以下なら、

領収書なしで経費に計上できる額が約70%っていう税制面での優遇措置。開業医が

週の真ん中とかで休みいれたりするのは、単につかれるからってわけじゃないの。

そうやって休みをいれたりしてて、診療報酬が5000万以下になるように工夫してんのよ。」



いまいちよくわかってない顔のKさん。



「1000万円の売り上げがあったとするじゃない?そしたら1000万に対して税金が

かかるのが当然。でもね、700万は必要経費で使っちゃいましたよーっていえるわけ。

税金がかかるのは売り上げのたった300万で済むってこと。つまり中途ハンパレベルの

病院なら、働きすぎると、開業医は逆に損するような利権があるわけ」


調剤薬局にはないのよ、チッ。

ムカつくよなー、連中。なんだかんだいって特権がいろいろあるもんなー。

東京都の場合、医師国保による後期高齢者支援金の増額は

なかったらしいしな。薬剤師国保は月1800円も多くとられることになったのに。



「・・・・・・そーなの、えー!そんなのズルくなーい!?」 


ようやくわかったようで、Kさんが大きな声を上げます。


「そゆこと。開業医の連中はこの利権を手放すまいと必死だけど、これをツブすのが

1番効果的だと思う。そうすれば、開業医の利益が減って、もっと働くようになるでしょうね。

水曜木曜休んだりしなくなるだろうし、夜も遅くまで働く、と。」


顔は上げたまま、ハシを動かしてKさんが大事に育てたお肉を何食わぬ顔で

自分の皿に移すアイ。



「ふーん、そんなこと、考えたことなかったなー。」


「考えんのはタダだから。いつでも考えとかないと、次の手を。ただ黙って人の指図通り

生きたって、きっとあとには何も残らない」


笑顔を返します。


すでにハシを置き、物憂げにほおづえをついているKさん。


「・・・・・・・・・そっか」


「そうです。これからもがんばっていかないと。もうさすがに転職は、考えちゃダメでしょうけど」



イジワル気に笑うアイ。


Kさんと、視線が合いました。






「実はね・・・・・・結婚することにしたの」







 横浜からタクシーに乗って帰ることにしたのは、雨が降ってきたからとか、酔っ払ったK

さんが心配だったからとかそんなんじゃなくて、アイが単に乗りたかったからです。


 運転手さんと話したりするような社交的な性格じゃなし、雨でくもる窓ガラスの外の景色を、

なんとなーくぼんやりとながめるアイ。

 

 Kさんには、まだ新卒で働き始めた頃に、プロポーズされたカレがいて。


 キライではなかったそうですが、当時はまだ決心がつかなくて、カレも待ってくれるとのことで、

焦らしプレイのままずうっと過ごしてきたそうです。エラいな、男子。


 ですが、仕事の都合でカレが三重県に転勤することになり、一緒に来て欲しいといわれ、

ようやく決心を固めたとのことでした。


「三重、ね」


うすら笑いを浮かべるアイ。





アイも大学時代の頃、好きだった人がいて。


その人は同じ部活の1コ上の先輩と付き合っていて。でもアンバランスだなぁきっと別れる

そう分析したアイはずっと静観していて。


先輩がなぜか三重県に就職することになって、なんで就職ガイダンスでいい条件だされたからって

実家でもなければそこでしか得られない特別なものがあるわけでもない三重なんぞに、

バカだなーなんて思って内心ほくそ笑んでいたのですが、アイの好きだった人もその後すぐに、

三重にある薬局に就職活動を行って内定をとって。



ああ、ホントに好きなんだなぁ。



ホントに好きなら、非合理的な行動を取るんだなぁヒトはなんて、舌を巻いたことを覚えています。


まあでも、2年後結局ふたりは別れてしまって、アイの好きだった人は東京に戻ってきて、

当初の計画に何も狂いなしと意気込んだアイが、デートに誘ったらOKしてくれて、

そこではじめて自分の気持ちを伝えたのですが。


やっぱり、届きませんでした。


その後、新しい誰かとお付き合いをしているらしいことだけは、他人づてで聞いてます。

それ以上は知りません。アイにとっては、もう無意味な情報。



きっと多分、もう会うことはないでしょう。Kさんとも。


アイって、基本的に人間関係についてタンパクだからな。





人並みに、恋愛に憧れることがあります。春だし、なおさら。


でも、10代のような、20代のようなことは、もうできない。


年齢がどうというより、資質の問題だな。アイは、計画をちゃんと立てた上で行動しないと

落ち着かないし、人に怒られたり嫌われたりするのを心のどこかでいつも怖れてるから、

他人の意見なんて聞かないし、損得勘定を何より優先していて、それが得だと思ったら

吐き気がするほどキライな人とでもずっと一緒にいられるし、損だと思ったら

どんなに波長が合う人でも、どっかそこいらで死んだことにして記憶から消してしまえる。


いずれ結婚はするつもりですが、きっとアイの選ぶ相手は好きになったから結婚するのではなく、

それが必要だと確信できる人を、好きだということにするのでしょう。




大きく息を吐き、タクシーの後部座席。左側に座り、ドアの縁をとん、とんと叩くアイ。


雨は止みそうにありません。


寝てしまいたいけど、起きてます。


タクシーの運転手が道を間違えないように。

おかしなことを、考えたりしないように。

「・・・・・・・・あのひと、りっぱな、かざみどり♪ わたしはちいさい、ニワトリよ
貝がら食べても、鉄にはなれず。貝がらはじける胸の中
ココ コココ ココ ココ♪ コココ 恋は恋は恋・・・」

 旅に出るのは、ツバメたち
 お化粧するのは、ジュウシマツ
 庭にはニワトリ、想いをこめて
 ひとりでタマゴをうみました

 ココ コココ ココ ココ♪ コココ 恋は恋は恋





 
 to be continued・・・⇒