浅田次郎著「輪違屋糸里」上下 | 直爺のブログ

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浅田次郎著「輪違屋糸里」上下二巻(文春文庫)を読んだ。

 

 尊王攘夷派と佐幕派とで大きく揺れた幕末、京都市中を取り締まった新撰組の初代局長芹沢鴨の物語。
 その物語を京都島原の遊郭「輪違屋」の芸妓「糸里」の視点で描いていく。
 新撰組と言えば私も興味があるし、まして初代局長芹沢鴨がなぜ暗殺されたかその理由を詳(つまび)らかに知らなかったので、書店でパラパラと見て「これは読まねば」と買ってきた。
 
 物語は芹沢鴨が島原遊郭最高位の音羽太夫をいきなり無礼打ちにしたことから始まる。
 どうやら物語の要所要所で出てくる事件は全て後に新撰組二番隊長永倉新八の語るところや壬生屯所の家人の話に基づいているようで、史実的な違いはあまりないようだ。
 
 物語に語られる「芹沢鴨」はかなり酒癖が悪かったらく、しらふでは人格者であるにもかかわらず酔っ払うとたちまち酒乱となる人物だったらしい。
 その酒乱が全ての原因となっているようなのだけど、それに関連する様々な出来事を通じて近藤勇や土方歳三、沖田総司などの性格も明らかになっていく。
 何れにせよ新撰組と芹沢鴨との関係がどんなもんだったかよく判って面白かった。
 それと、物語に登場する芸妓「糸里」「吉栄」はおそらく著者の創作だろうと思うけど物語のいろんな情景を繋いでいく重要な役目を果たしている。
 物語としてもとても面白いし勿論歴史の勉強にもなるし、読んで 為になると思った。
 
おしまい