…といっても手広く揃えて大規模に、という話ではない、もう少しこぢんまりと、夫婦で経営するくらいの規模、メニューも庶民的、その中で充実させるなら、というていどだ。
発酵学者というより珍食奇食で有名な小泉武夫氏はどこかで、いつか経営したい食堂を三種類挙げている。
まずは猫飯屋。ご飯に汁をかけて食べるだけのあれだ。そうたかを括っていたら、味噌汁の味を変えたり具を足したりしていろいろ楽しめるのだそう。
次が馬力屋。いわゆる精力増進料理というやつで、にんにく、生肝とかの類と思っていたら、牡蠣、納豆、オクラも効くのだとか。骨酒というのもいいらしい。
最後が粗屋。魚貝の粗を料って出す。魚は粗と蔑まれる内臓や骨などに栄養があるそうで(そういえば獣肉でもそんなこと言ってたような)、粗はなんといっても安いのが売りだとか。
どれも原価が安い、特に粗は往々にしてゴミにされるからタダで手に入るから元手も少なくていい、と大変な入れ込みようだが、大真面目に手を上げたら支援してくれるかもしれない。
そうでなくても、古谷三敏の「BARレモンハート」とまでは行かなくとも安倍夜郎の「深夜食堂」を読むうちに、「いつかこういう地味な食堂を開けようかな」と妄想したこともある。
NHKの「72時間」という番組だったかで、24時間営業のおにぎり屋というのをみてからかな、通しは無理でも深夜に開ける店があるといいだろうな、と思ったせいか。
出すのはおにぎり🍙と味噌汁だけ、🍙は具は種類も梅干、サケ、タラコ、高菜、昆布、ちりめん、とノーマルな物しかできないが、それこそ魚の粗肉を具に回すのも面白かろう。
店は0時から7時か8時まで、お酒は出さない、深夜の客はもう嫌というほど飲んできているはずだから、お茶🍵や汁物🫕がむしろ欲しいだろう、と思うから。あわよくば朝飯を当てにする客も取り込めるだろう。
おにぎり🍙1本なのは、「深夜食堂」みたいに、食べたいものがあればできる範囲で作るよ、なんて器用なことは出来ないからで、その分価格は安めになるが、さてペイするか自信はない。
それに深夜営業でもうけが出るのは都会なればこそなので、大都会では競争が激しいし小都会では閑古鳥になりかねないから、いよいよ幻になりそうだ。
やはり私は食う専門なのかもしれない、孤独のグルメの井之頭五郎のように。