事業仕分けのあるべき姿 | turfplan.netのブログ

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素朴な疑問や思いを書いています。

政権が民主党に変わり、『無駄を無くすんだ!』と旗を振り実施した事業仕分け。


2年が経過し、凍結された案件が知らないうちに復活し、国民の批判を浴びた公務員宿舎問題。


どうも世間では『事業仕分け=無駄を削減する』という誤解をしている様に思えて仕方ないです。




そもそも事業の立案は、各自治体が持つ『中・長期的な構想(総合計画)』を基本とし、その中にある施策をどう具体的に展開するのか熟慮され、担当者によって多くの事業案が立案されます。


そして立案された事業案は、様々な協議を経て初めて世に出るのです。そんな事業に『無駄』な物がある筈がありません。なぜなら無駄な事業なら協議の段階で脱落するからです。


だから本来『無駄な事業』は存在しないのであります。(役所も税金を無駄に使うつもりはないのです。)


ただ中には事業が担当者の思惑から外れたり、時代にそぐわなくなった事業もあるはずです。


だからそれらを見極める為、近年は『行政評価』というものを取り入れ、各事業を評価しているのです。


それを総括したのが『事業評価票』と言われる通知表の類の書類です。


http://www.city.nagoya.jp/somu/cmsfiles/contents/0000028/28399/1-12keiropasunokoufu.pdf

(事業評価票(参考資料):名古屋市)


この評価票を使用して、各事業を判定し、事業仕分けの対象となる事業を選定しているのです。





ここで1つ問題なのは、この評価票を作成するのは各担当部署であるのですが、対象事業の選定事業仕分けの担当者は一般的に総務局(部)管轄の行財政改革担当だという点であります。


ここで僕はもう1つの勘違いが起きていると考えます。


『行財政改革=事業仕分け(一種の手法)=無駄を削減する』


こんな方程式が正論化されている様な気がします。


これは近年の財政難に直面する中、同時期に行財政改革を唱えてきた為、事業仕分けは無駄を削減する手段のみと勘違いされてしまった様な気がします。


素人の僕が偉そうに言うつもりはありませんが、この様な誤解をしている行政職員や政治家が目に付きます。


そして『現在必死に行革をしています。』なんて言い放ち、財源論の際『行革』や『事業仕分け』などの言葉を使う多くの政治家がいるのも現実です。


確かに行財政改革(行革)や事業仕分けによって予算の削減が可能ですし、時代にそぐわない事業や一定の成果が得られない事業を選別する事も出来るでしょう。そしてその行為は予算の削減につながります。


しかし大前提に置かなければ行けないのは、市民サービスを低下させる可能性がある『行財政改革』は本来の改革ではないという事です。


『改革』という言葉を辞書で調べると、『従来の制度などを改めてよりよいものにすること。「機構を―する」』とあります。どこにも削減という文字は見当たりません。


それなのにどうも『行財政改革=事業仕分け(一種の手法)=無駄を削減する』という方程式が正解だと多くの政治家が市民をミスリードしている様な気がしてなりません。





その象徴が対象事業の選別方法と判定方法にあります。


最初に対象事業の選別方法ですが、下記の事業評価を見てみると、廃止や見直し(縮小や変更)が求められる様な事業しか担当課は意見を述べていません。


http://www.city.nagoya.jp/somu/cmsfiles/contents/0000028/28151/jigyouichiran.pdf

(平成23年度事業評価一覧:名古屋市)


要するに事業仕分けは削減ありきの考え方なのです。


たしかに削減する事も事業仕分けの目的であるのは間違いありません。しかし行革の観点から見れば、行政の判断では難しい事業や、行政が道義的に判断出来ない事業なども、対象事業に挙がって然るべきと思います。





例えば最近話題になる『名古屋おもてなし武将隊』。


この事業は緊急雇用対策の一環として事業スタートしました。


しかし、来年の3月で国の補助金は打ち切りとなります。テレビ(報道)はこの武将隊の今後の動向を見守っています。


名古屋市は自前で事業を存続させる意向は無さそうです。


この事業は名古屋市にとって有効な事業だったのでしょうか?


また市民はどう感じているのでしょうか?


こんな事業こそ、事業仕分けで市民の意見を聞いて事業の是非を問うてみる。


これが本来の市民が参画する大きな意義の様な気がしてなりません。






次に事業仕分けの判定についてですが、市民が判定する選択肢は『廃止・見直し・継続』の3種類しかありません。


それは先程述べた様に、廃止や見直し(縮小や変更)が求められる様な事業しか着目していないからです。


だからせっかく市民が参画しても『廃止・見直し・継続』の3種類しか判定基準がないのです。


簡単に言えば、事業仕分けに挙がった事業は

①事業を止める(廃止)

②事業を縮小する(見直し)

③事業を続ける(継続)

http://www.city.nagoya.jp/somu/page/0000026598.html

(外部評価の流れ:名古屋市)


しかないのです。



この様に、事業仕分けを削減する為の道具だけに使うのではなく、せっかく市民判定員を採用するのなら、時には『事業拡大』なんていう判定が出せる様なメリハリのある事業仕分けの方が市民の関心をそそるのではないでしょうか?


そしてこれをきっかけに多くの市民に市政について関心を持ってもらい、時には痛みを分かち合う様な関係を構築する為の道具として『事業仕分け』を活用したらどうでしょうか。