三重県桑名市では、2010年に発注した事業(水道を除く)の競争入札の6割以上が、最低制限価格と同額で落札されていたらしい。
この事で注目する点は数多くある。
1つはなぜ最低制限価格なのか?
昔から公共事業の談合については社会的に問題となってきた。
談合で注目されるのは『予定価格』である。
予定価格になるべく近い金額で受注し、何社かで持ち回れば効率的なのである。
それに付随する用語が『落札率』である。全てではないが『落札率が高い=談合の可能性が有り』と思って良いだろう。
いつの日か『談合=悪』と市民に植え付けられていった。(僕はケースバイケースだと思っているが)
だから今でも多くの市民派議員は、議会にて落札率の高い案件について行政担当者を追求している。
そして、岐阜市のある工務店は『談合反対』を数年前から唱え続け、昨年受注した事業にて入札価格より建設費用が少なかったとの理由で、その差額の内一部を返還した事もある。
またこの業者は選挙がある度に、独自のアンケートを候補者に配布し公共事業のあり方について各々の考え方を知ろうとしている。
それ位世間にとって関心の高い事であるのは違いない。
しかし今回はその反対である。いわば一番安い価格で受注する為の情報を聞き出していたのである。
今のところ贈収賄の話は出てきていないが、客観的に誰が得をしたのだろうか?
逮捕後、事態を重く見た議会は、桑名市長に対して問責決議案が提出し、同日可決された。
これには他の理由(最近桑名市は毎年の様に職員の不正が取りざたされている)もあるのだろうが、議会としては『けじめ』だったのだろう。
ここからはぼくの推論であるが、この行為は一種の行財政改革だった様な気がしてならない。
そして市長が大きく関与していた様な気がしてならない。
そう感じる理由は、市長が財政難である今、どうしたら行政サービス(公共事業)を削減を回避出来るか逮捕された職員(友人)と試行錯誤したんだと思う。
その結果、最低制限価格で引き受けてくれる業者を探し求めたんだと思う。
そして何社か見つける事が出来、情報を流して最低制限価格で契約した。
そうすれば最小限の金額で従来通り公共事業を発注し、予算の削減にもつながる。
少し常識から外れた見解かも知れないが、どう考えても最低制限金額で受注する理由が見当たらない。
1つだけあるとすれば、最低落札価格で入札する限り、絶対仕事が受注できるという点だけである。
もう1つは、なぜ最低制限金額と同額で入札し続けたのだろうか?
情報によると、桑名市は2009年に最低制限価格を算出する計算式を公表しているそうだ。
だから積算能力の高い企業なら最低制限価格を割り出すのは可能で、最低制限価格と同額で落札されていた事に不正を感じなかったらしい。
この事からも僕の推論は成り立ってくる。
しかし2010年度に発注した工事(142件)のうち、90件が最低制限価格と同額で落札されているなんて
誰がどう考えても意図的としか思えない。
多少の修正をする知恵はなかったのだろうか?
これも推論だが、おそらくこの入札の大半が電子入札で、一度誰かが入力ミスをして予定された業者が受注出来なかったのだろう。
その教訓から現在に至ったのではないだろうか?
最後の疑問は今回逮捕したのが愛知県警捜査2課である。桑名市は三重県にあるのになぜだろう?
これはいろんな憶測(三重県警の隠蔽体質など)があるみたいだが、この事件は単なる序章なのかも知れない。
それにしても情けない行政の不祥事である。
余談だが昨日から小沢元代表の裁判が始まった。
世論的には小沢氏に『説明責任』があると騒がれてる。
ただ三権分立という事も無視は出来ない。
しかしもっと納得行かないのは、朝の情報番組でみのもんたが事ある毎に小沢批判、政治批判、官僚批判している事である。
皆さんあまり知られていないが、彼が代表を務める水道機器の会社は長年に渡り談合を続け、全国各地の自治体から指名停止処分を何回もされている事実があるのです。
今回の桑名市を見ても明らかな様に、水道事業ではかなりの高落札率で業者が落札します。
2009年に桑名市で起きた収賄事件は水道工事が絡んでいます。
どこの自治体でもそうですが、水道絡みの工事は今でも悪の巣窟であることは間違いありません。
そんな業界にどっぷり浸かり、自分の悪業は棚に上げ、偉そうに批判する。
そんな人間がいるから国民に正しい情報が伝わらないのだと思います。