岐阜県職員贈賄容疑で逮捕。 | turfplan.netのブログ

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『贈賄』。

久しぶりに聞くフレーズである。

10/6の中日新聞によると、岐阜県のある事業(公募型プロポーザル方式)の発注について便宜を図り、委託業者から謝礼を受け取っていたらしい。


最初このニュースを聞いた時、僕は耳を疑った。


それは業者が便宜を図ってもらった事業費は1500万円程度なのだ。


昨年度と今年度受注しているらしいが、合計金額をみても3000万円程度である。


しかし、業者はその担当者に200万円近い金額を渡している。


対象となった事業内容を個人的に精査してみたが、3000万円程度の受注金額で約1割のキックバックはどうも説得力に欠ける。


そんな事を考えていたら今日の新聞にその全容が報じられた。


対象事業者は他県に渡り指定管理者となっていたのである。


その数23施設。総額12億円(年間)あまりである。


一般的に指定管理者の公募については『公募型プロポーザル方式』を採用する事が多い。


その理由は落札価格だけでは決定出来ない要素が多く含まれるからだ。


近年普及してきた『指定管理者制度』の目的は、


【住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設である公の施設について、民間事業者等が有するノウハウを活用することにより、住民サービスの質の向上を図っていくことで、施設の設置の目的を効果的に達成する事】


であり、一定の競争原理は必要であるが、住民サービスの低下を招く競争は不要なのである。


だから、行政が施設を指定管理者制度の対象にする場合は、あらかじめ何項目かの評価対象項目を設定し、採点表を作成するのである。


しかし、項目内容は比較的抽象的な表現で記載されており、企画書を作成するにあたり、行政の求めている事がなかなか読み取れないのが現状である。


僕も経験があるが、審査結果の公平性については若干の疑問が残ってしまう。


これで今回の贈賄のなぞが解けた。


恐らく多くのプロポーザルに提出する企画書を作成する際、有利な助言を受けていたのだと推測できる。


そう考えると200万足らずの金額はリスクが大きいような気もする。


しかしこの贈賄事件で『公募型プロポーザル方式』による指定管理者の選定方法は見直される可能性が出てきてしまった。


でもそれ以外の選考方法もないのが現状である。


今一度『指定管理者制度』を見直すには良いきっかけかも知れないと感じている。


余談だが、先日の名古屋市会で、ある議員が『指定管理者制度の有効性』について発言されていた。


正直な感想は机上の空論だと感じている。


市議は横浜市の事例を取り上げていたが、『指定管理者制度』を積極的に導入した中田前市長の思惑は、行政職員の大幅な削減にあった。(統計的に分析すると)


少なくとも公共サービスの民力による向上なんてサイドメニューであったに過ぎない。


だから収益のない事業(図書館)までも指定管理者制度を導入した。


実際、図書館の指定管理者制度導入については全国的に問題視されている。


図書館の問題については僕も相談を受けた事があるが、受益者負担が伴わない事業である限り行政の人件費削減程度しか効果が見られない。


本の貸し出し以外に、様々な意見(事業性のある取組みの提案)があったのも事実である。


しかし多くの公共施設には何らかの補助金が投入されており、様々な規制がそれらを妨害をする。


受益者負担が伴わない施設は、民間企業からみても積極参入出来ないのである。


また横浜市の事例にある複数施設の一括公募についても、独禁法違反(抱き合わせ商法)に類似する可能性も考慮しなければならないと考える。


法的には問題はないだろうが、道義的問題として課題はあるのではないだろうか?


そんな問題点があっても中田前市長が非難されない理由は、市債発行残高も含め、全てにおいて行財政改革を実施したからだ。


横浜市という立地条件を考えると、受益者負担がある公共施設はある程度の収益は見込まれ(東京都からの来場者が多い)、その全体の収益と自治体運営で実施した時の経費(特に職員の人件費上昇率)も考慮すると、毎年一定の人件費だけ計上すればよい『指定管理者制度』が有効であったのだろう。


正直言って、名古屋市にはめ込むのは少し強引だと感じてしまう。


本題に戻るが、そんな問題があるのになぜ贈賄事件になったのか?


それは沢山の受注実績がなければ、利益率の高い物件を落札する事が出来ないからだと推察する。


ちなみにこの業者が2005年に指定管理者として受注していた『岐阜未来会館』は昨年度末で営業停止となっている。


岐阜の地域性から考えて、指定管理者制度を導入して成功した事例は数少ない。


指定管理者制度が導入され8年。


まだ真相は解らないが、『指定管理者制度』における一つの選定方法である公募型プロポーザル方式の弱点が少なからず露呈し、贈賄事件まで発生してしまった。


単なる贈賄事件で片付けるのではなく、制度の見直しも含めた検討を古田岐阜県知事にはお願いしたい。


それにしても、新聞の記事にあった記者名が知人だったのには少し驚いた。


いろんな情報が入りそうなので一度電話してみよう。