覚悟 | この先の行く末~お客が男になった時~

覚悟

仕事仲間が結婚する。






彼女のお腹の中には、既に新しい生命も宿っているらしい。






出会いは、私と共に働いているこのお店。だそうだ。






『最初は子種だけ欲しいって話で成立してたんだけどね』





凛とした佇まいが美しい彼女は、照れくさそうにそう話してくれた。





家も買い、資金も充分貯め、薬剤師の資格も持つ彼女の口癖は『男は必要。でも夫は必要ない』だった。





それがなぜ?





思った事を、私は素直に聞いてみた。






『あたしもさ、種付け以外アンタのする事なんて無いのに、なんでよ?って聞いたんだよね』




『で、相手の人はなんて?』




私はつかさず、言葉を挟む。




『それでも、君の人生を見届けたいんだ。だってさ』





口振りは素っ気なくとも、その表情には幸せそうな笑みがたたえられていて、側で聞いている私も、なんだか温かい気持ちになった。





きっと、あらゆるものに対し覚悟をした彼女に、相手の男性もまた、自分の人生に覚悟を決めたのかもしれない。





そんなお二人に、幸あれ。
月並みだけど、いつまでもお幸せに…。