呼び水 | この先の行く末~お客が男になった時~

呼び水

友人が薦めてくれた店へ彼と行く。



その友人とは、気も合うが、味覚も合う。



味覚が共通するのは、私にとって、とても大切な事の一つだ。




どんなにユーモアがあっても、寛大な人柄であっても、味覚が合わない人とは、結局仲良くなれない。




『当たりだ』



彼と食事をしながら、友人に感謝する。



美味しい食事は、その後の私達を楽しませる呼び水となる。



お腹が満たされたら、次は体。



なんてケダモノ。



でも、二人きりになれば、私達は只の動物になるのだ。



そこに存在するのは『相手が欲しい』ただ、それだけ。




言葉の代わりに溜め息。


時に叫び声。



そうして、私達は互いの体に集中する。




すると、空気は密度を増して行き、私の目を曇らせる。




ぼやけた筈の視界の中で、彼の体はくっきりと輪郭を持ち、私に影を落としていく。