あび卯月日記-ハトとタモ


麻生首相はなにかといっては叩かれていた。
やれ漢字が読めない、やれ庶民離れしている、やれ失言癖がある・・・。

しかし、彼が一体どんな失政をしたというのだろう。
麻生首相に失政があったというなら具体的に説明して欲しい。

少なくとも、経済については定額給付金をやり、エコカー減税、エコポイントと内需を喚起する政策をやり、まがりなりにもGDPが5四半期ぶりに上向かせた。
これは、麻生内閣の内需拡大政策によってGDPの約6割を占める個人消費が3四半期ぶりにプラスに転じたことによる。

また、麻生首相は中川財務大臣と組んで、IMFに一千億ドルを融資した。
IMFのストロスカーン専務理事は「人類の歴史上、最大の貢献だ」と日本政府に対して最大級の讃辞を送ったが、マスコミはこの言をスッパリと切り捨てて報道した。
麻生内閣に手柄があってはならないからだ。
それどころか、「IMFに一千億ドルもの血税を使うとは何事だ。国内にまわせ」というような批判もみられた。

まづ、この一千億ドルは日本政府が保有する外貨準備から拠出される。
これら外貨準備は主に米国債など眠っているマネーで日本にとってリスクは無い。
従って、血税でもないしそのほとんどが米国債なのだから国内に廻すこともできない。
米国債を国内に流通されるには円に替える必要があり、そんなことをすれば10円以上の円高は避けられないし、ドル崩壊の危険性もあるからだ。

また、世界一の対外純債権国(つまり、世界で一番外国にお金を貸している国)の日本は各国がデフォルト(債務不履行)に陥れば最も被害をこうむることになる。
この点で、IMFに資金援助することは大きな意義を持ってくる。

まとめてみると、IMFへの一千億円の融資は寝ていた資金をリスクゼロでIMFに提供し、多くの国のデフォルトを防ぎ、結果的に債権国である我が国の国益になる。
さらに「人類史上最大の貢献」と謝辞まで送られるという完璧な施策になる。

こういう説明をきちんとしたマスコミは私の知る限りでは皆無だ。
むしろ、中川大臣というと泥酔会見のことばかり取りざたされ、挙げ句、辞任に追い込まれた。
善政は取り上げず、本来政策と関係ない失態ばかり強調しネガティブキャンペーンをやる。
とにもかくにも、マスコミは麻生内閣を潰したかったことがよく解る。

一方で、民主党の汚点は取り上げないか、限りなく小さな扱いにする。
次期首相の鳩山由紀夫は個人献金ならぬ故人献金を受けていたが、極めて低い扱いだった。
田母神論文が問題になったとき、田母神氏と懸賞論文を主宰していたアパグループの社長がともに会食(ワインの会)している写真が公開された。
田母神氏とアパグループの関係が深いことを示す証拠ということらしいが、実はこのワインの会には鳩山由紀夫も夫人を伴って出席していた。(※写真参照)
にもかかわらず、鳩山氏にとって不利と判断されたのか、「ニュース23」では鳩山由紀夫が映っている部分を切り取り、夫人の顔にはボカシを入れて報道した。

麻生首相は金持ちだ、世襲だ、高級バーで食事をして庶民感覚が無い、などと批判されたが、それなら鳩山由紀夫は麻生太郎の上をいく金持ちだ。
預貯金だけで12億8100万円、他に不動産と時価総額100億円以上有価証券を持つ。
世襲も三代目になる。
食事も麻生太郎に負けない高級店に行っている。
先日もランチ一食一万円もする日本料理店で昼食をとっていた。

それなのにマスコミは鳩山夫妻がモスバーガーで食事をしましたなんて庶民派を演じたパフォーマンスの方はしっかりと報道する。
こういうバランス感覚の無さにはもはや驚かないが、極端すぎやしないか。
それでいて自分たちは中立のような顔をする。
別に中立でなくていいからそういう顔をするのだけはやめにして欲しい。