「だ・る・ま・さ・ん・が」→「どてっ」
こんにちは、ふじおです。
今回は、こんな描き出しで始まる、かがくいひろしの絵本『だるまさんが』を紹介します。
そう、こんな言葉から始まる絵本『だるまさんが』。
皆さん、一度は読んだことがあるのではないでしょうか?
それくらい有名な、子どもに大人気の絵本。
「だるまさん」シリーズは計3冊出版されています。
作者のかがくいひろしさん、変わった名前ですね。
漢字で書くと、加岳井広。
かがくいさんは、美大を卒業後、長く特別支援学校の教師(28年間)をされていました。
50歳で遅咲きの絵本作家デビュー
しかし、54歳で癌のため亡くなってしまいます
作家生活はたった4年で、発表した絵本は16冊。
かがくいさんは大学の時、障害児教育の授業で出会った言葉を座右の銘にしていました。
「効果があればやる。効果がなければやらないという考えは合理主義といえるでしょうが、これを人間の生き方にあてはめるのはまちがいです。この子どもたちは、ここでの毎日毎日が人生なのです。その人生をこと子どもたちなりに喜びをもって、充実して生きていくことが大切なのです。わたしたちの努力の目標もそこにあります。」(ドイツ ビールフェルトのベテル施修道女より)
かがくいさんは、学生時代に障害児一人ひとりに向き合う目を持ったのでしょう。
『だるまさんが』はかがくいさんが52歳の時の作品ですが、その5年も前からアイディアは温めていたそうです。
あるインタビューで、この作品は、「本当に僕がやりたかった感じのもので、音と動きみたいなところで、ストーリーとかなくて、ハンディ背負ってる子とか、ちっちゃい子とか、そういう子でも受け入れられるものを作れるといいなと思っ」たと言います。
そうして、編集者との打合せで、この本のアイディアを話すと、即出版決定!
かがくいさんの狙いは的中し、重版出来を繰り返すことになるのです
かがくいさんの一人娘の直子さんが結婚し、出産した
長男は、発達障害でした。
直子さんが昔を振り返ると、走り回る長男の背中を追いかける毎日だったそうです。
その長男が『だるまさんが』を読み始めると、立ち止まり聴いてくれたと言います。
『だるまさんが』は、不思議なパワーを秘めた作品です。
直子さんは、かがくいさんの狙いを「多くの子どもたちに響くものを作ろうと思って描いたのではないか」と回想しています。
生前のかがくいさんを担当した編集者は、かがくいさんの作品に通底するのは、「立場を代えて見て、視点をたくさん持っている方が、みんな幸せだよね」という考えだと言います。
子どもの目線、障害者の目線、他者の目線、いろんな目線で物事を見る方が気付きが多いし、もっと楽しくなるような気がします
今年、「かがくいひろしの世界展」が開催されています。
興味のある方は、ぜひ行ってみてください。
NHK「日曜美術館」「だるまさんの魔法 絵本作家かがくいひろし」(2023年7月9日放送より多くを参考にしました。