こんにちは、ふじおです。

今日は、現在シネマ・クレールで上映中の「シュヴァルの理想宮」をご紹介します。

このお話はフランスフランス南東部になる片田舎にあるオートリ―ヴに住む郵便局郵便配達員のシュヴァルお父さんの物語。

寡黙で人付き合いの苦手な彼は、前妻と死別し、その後妻になったフィロメーヌお母さんとの間に一人娘アリス赤ちゃんが誕生します。

不器用な彼はアリスとどう接すれば良いのか戸惑います。
そんなある日、配達の道中で石につまずきます。彼は、その奇石に魅入られ、石を積み上げて壮大な宮殿を作り上げるという奇想天外な夢を思いつきます。

配達の道すがら石を拾っては、帰宅後10時間、拾った石と漆喰で積み上げたその宮殿は娘アリスのための建物でした。それは不器用な彼なりの愛娘への愛情表現でもありました。
村人たちに変人扱いを受けながらも、作りかけの宮殿を遊び場に育っていくアリスとともに、シュヴァルの幸せな生活は続いて行くかに見えました。

しかし、過酷な運命が容赦なく彼に襲い掛かけます。最愛の娘アリスがわずか15才で亡くなります。

愛娘を失った悲しみを乗り越え、18年後理想宮はついに完成します。

しかしまた、シュヴァルに不幸が襲います。完成の年に前妻との息子シリルが、その2年後に後妻のフィロメーヌが死んでしまいます。

シュヴァルは家族のための霊廟を8年かけて築き上げ、その2年後に天寿を全うし88年の生涯の幕を閉じました――。

 

シュヴァルの理想宮については、荒俣宏の著作やテレビ番組で知ってはいたのですが、彼の理想宮の陰には家族の死という不幸に見舞われながらも、理想宮と霊廟をたった一人で築いたという物語がありました。

シュヴァルには、不幸を乗り越え、頑なな一念で信念を貫き通す実行力があったのです。

この作品を観終わって、果たして自分は娘に何を残してやれるだろうかと深く考えました。

物理的な物でも精神的なモノでも、何か娘の心に残るモノを1つだけでも残したいと想いを新たにしました。