こんにちは、ふじおです。
今回は久々に本をご紹介します。
その本というの茂木俊彦氏の『障害児教育を考える』です。


この本は国内外の障害者に関する制度の整備過程を紹介しています。
かつて「特殊教育」と呼ばれていた時代から「特別支援教育(=障害児教育)」へと移行した経緯や制度の成立について解説されています。
本書の中で著者は障害児に向かい合う教師の心構えとして「子どもに尋ねる」と述べています。
「子どもに障害がある場合、その種類と程度はさまざまであり、障害によってもたらされる困難、活動の制限も一様ではない。…精神発達の面でどのような状態にあるかを把握しなければならない。障害の種類や程度に目を向けること、発達という角度から子どもを見ることは、障害児を理解するために必須」であるとした上で、「教師は自らの感受性を高め、想像力に磨きをかけていくことによって、この困難を乗り越えて子どものことを分かろうとする。その努力を端的に表現してみると、それは『子どもに尋ねる』ということであると思う。尋ねることによって、教師は子どもとつながり、共感関係を深め、子どものことが分かるようになっていく。『尋ねる』とは障害児教育においてもっとも大切にされる「子どもに学ぶ」ことと、ほぼ同義といってよいかもしれない。」「子どもに尋ねる姿勢を崩さず、学び続けることが大事である。このことの自覚が、働きかける側にあるかどうかは、子どもの理解と教育にとって肝心かなめ」という。
これは何も教師だけの話ではなく、我々障害児を持つ保護者に対しても当てはまることです。
以前ブログで紹介した『聴覚障害教育 これまでとこれから』でも少し言及しましたが、子どもの障害に対して理解を深める努力は必要だと思います。私は人工内耳友の会の会誌「ACITA」に掲載の記事から聞こえるということはどういうことか、人工内耳はどのように聞こえるのかなどを当事者の声を通じて知ろうしています。当事者を知ることは、当事者の視点に立ち、必要なニーズの気付きにつながると思います。
著者は本書の終章で「障害児教育、特別支援教育について私が述べたことは、障害が重度・重症であろうと軽度であろうと、誰をも例外とせず、すべての障害児の学習と発達の権利を保障する教育を創る活動を発展させようということであった。また障害の有無にかかわりなく、すべえの子どもたちが互いの違いを受け入れて、支え合い、励まし合って生きる力の基礎を固める教育を創ること、これに尽きると」断言しています。障害の有無に関わらず個々の個性やニーズなどの多様性を尊重し一緒に学ぶ「インクルーシブ教育(包括教育)」が浸透し、互いを認め尊重する社会の実現を願ってやみません。
私は、倉敷市特別支援学級親の会を通じて、毎年倉敷市教育委員会に対して要望活動をしていますが、障害児(者)を取り巻く法制度や教育環境を知ることで、要望活動にもつながっています。