こんにちは、ふじおです。

21日に開催された「こどもたちのことばとこころをはぐくむ講演会7」の参加レポートを右差しブログで報告しました。

紙幅の関係で発達障害の件は割愛したのですが、その部分も書いてほしいという声があったので急遽報告しますニコニコ

 

まず講演の話に入る前に、そもそも発達障害とはどういった障害なのでしょうか?

発達障害情報・支援センター(厚生労働省所管)のHPには、「発達障害者支援法において、『発達障害』は『自閉症アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害学習障害注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの』(発達障害者支援法における定義 第二条より)と定義されています」と説明されています。

さらに、「これらのタイプのうちどれにあたるのか、障害の種類を明確に分けて診断することは大変難しいとされています。障害ごとの特徴がそれぞれ少しずつ重なり合っている場合も多いからです。また、年齢や環境により目立つ症状がちがってくるので、診断された時期により、診断名が異なることもあります」と説明されています。

つまり、脳機能に関係する障害・特性で、主にASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)、ADHD(注意欠如多動性障害)、そしてLD(学習障害)の大きく3つに分けられます。 3つの定義については、文部科学省のHPをご覧下さい。

 

発達障害のことを抑えたところで本題に移ります。

福島先生の講演では、聴覚障害と発達障害を取り上げ、それぞれのセルフアドボカシーについて話されました。

おさらいですが、セルフアドボカシーとは、障害のある当事者が、自分に必要な支援や要求、権利を自分で主張し、自分や仲間たちのために権利擁護活動を行うことです。

障害者のセルフアドボカシーを考える時、この2つの障害には共通する点と異なる点があります。

 

〔共通する点〕

これは21日の参加レポートに書いたことと同じです。つまり、

①自分の障害を自覚し受け入れる。自分の得手不得手を認識する。

②自分の周囲(学校やクラスメイトなど)が自分の障害について、理解してくれているか・協力してくれるかを判断する。

③自分の周囲に対して、どんなサポートをしてもらいたいかを認識する。

④周囲に望むサポートを、自分の言葉で相手に伝え、同意してもらえるコミュニケーション能力を身に付ける。

 

〔異なる点〕

それは聴覚障害と発達障害の障害特性の違いそのものです。

発達障害の場合、例えば「発達性ディスレクシア(難読症)」は本読字やメモ書字に著しい困難が生じるし、ASD(自閉症スペクトラム症)は他者とコミュニケーションをとることが苦手です。

一方、聴覚障害の場合は、当然聞こえに対して顕著な困難があります。たとえ補聴装用機器(補聴器や人工内耳)を装用していても健聴者と同じように聞こえるわけではありません。

障害特性が異なるのですから、周囲にしてもらいたいサポートの内容も異なります。

 

ただ聴覚障害や視覚障害あるいは身体障害のように、見た目や装用具で周囲の人々が障害者として認知してくれるのとは違い、発達障害の場合は見た目でその障害に周囲が気づくことは困難です。

見えにくい障害であるがゆえに、周囲から誤解や偏見を受けがちです。

小学校など学校の場では、しばしばそのことが原因で“いじめ”や“仲間外れ”に発展してしまいます。

 

そこで「発達障害に対するセルフアドボカシー」は、

①学校で「生き残る」ためには、環境整備が重要!

②環境整備≠えこひいきにならないように

③周囲からの協力を得るためには、「カミングアウト(情報開示)」が必要

以上3つの点が重要になります。

ここでいう「環境整備」とは、「周囲の人々」や「日常生活の主な環境(学校など)」のことです。

自分の周囲に対して、自分の障害特性を開示し、決して“怠け”などによるものではないことを理解してもらうことが、セルフアドボカシーをする上で前提条件になってきます。

その前提条件を整えるためには、担任教師・保護者・学年主任などの管理職・学外の専門家の役割が重要になります。

各々が役割分担をした上で、授業などの学校生活を通して、障害に対する理解を深め、偏見をなくし、多様性を認めることが必要グッなのです。

 

ただし、ここで注意が必要なのは、自分の障害をカミングアウト(開示)する方法(程度)です。

●はっきりと診断名(障害)を告白し、明確なサポートを求める(ハード・ディスクロージャー=積極的開示

●診断名(障害)のことははっきり告げないで、必要なサポートだけ求める(ソフト・ディスクロージャー=消極的開示

福島先生は、アメリカなどではハード・ディスクロージャーは基本だが、日本ではいきなりハード・ディスクロージャーするより、ソフト・ディスクロージャーの方が日本人の特性に合っているとの説明でした。

確かに日本の家庭では障害に対してネガティブで、隠匿する傾向が強かったと思います。

しかし、障害者差別解消法が制定されている現在では、障害者を取り巻く状況が以前とは変わってきていると思います。

法律で保障されているのですから、障害者ももっと胸を張って堂々と前に出るべきだと私は思います。

自分の障害をマイナス要素と捉えるのではなく、健常者にはないプラスの要素なのだと考え、健常者と同じように生活するための公正な支援を受けながら、健常者と同じように自分の人生を送る権利があるのです。

障害持つ方の中には、健常者だからそう言えるんだという意見もあるかと思います。ごもっともです。

もちろん障害者が全員ハード・ディスクロージャーした方が良いというのではありません。

健常者にも引っ込み思案な人もいれば、はっきり主張する人もいます。

情報開示をどの程度するかは、障害者本人が決めれば良いと思います。

ただ、各々の多様性を認め合い、健常者も障害者も関係なく、各々が何の違和感もなく普通に生活しているキラキラ社会キラキラが訪れることを願ってやみません照れ

(今回もまた、あくまでも私が福島先生の講演を聴いて咀嚼したものです。違っていたらごめんなさい。最後は私見を吐露してしまいました。すいませんお願い

 

最後に金子みすゞのステキな詩で結びたいと思います。

「私と小鳥と鈴と」

 

私が両手をひろげても、

お空はちっとも飛べないが、

飛べる小鳥は私のように、

地面を速くは走れない。

 

私がからだをゆすっても、

きれいな音は出ないけど、

あの鳴る鈴は私のように、

たくさんな唄は知らないよ。

 

鈴と、小鳥と、それから私。

みんなちがって、みんないい。

 

『金子みすゞ全集』(JULA出版局)より