こんにちは、ふじおです。
今回は先月21日に観た「グリーンブック」をご紹介します。
この日は午前中に岡山で映画を1本観た後、古書の即売会で古書を物色し、午後から倉敷で映画を2本観るという強行軍で、3本目に観たのが「グリーンブック」でした。
音楽ドキュメント・SFアニメ、そして実話ロードムーヴィーとジャンルはバラバラでしたが、映画好きにとって至福の一日でした。
1日に3本ハシゴするのは、50前のおっさんには体力的にキツいですが、昔は2本立て・3本立てで映画やってたよなぁと懐かしくなりました。
気が付けば50才=半世紀近くを生きてきたわけで、年取ったなと思う反面、仮に100才生きるとしたら、まだやっと人生の折り返し地点に差し掛かったばかり……まだまだやりたいことがいっぱいできると、意気揚々となったふじおでした。
さて、まくら(前置き)が長くなりましたが、人との出会いが自分の人生に大きな影響を与えることがあるというのが「グリーンブック」の主人公バレロンガとシャーリーです。
バレロンガは高級クラブのフロアマネージャーを務めるイタリア系アメリカ人の白人。ガサツで豪快なバレロンガは、揉め事も持ち前の腕力とトーク力で治めてしまいます。
一方、シャーリーは天才ピアノ演奏者でセレブな黒人。
この好対照な二人が車に乗ってアメリカ南部のコンサートツアーでクリスマスまで行動を共にするというストーリー。
バレロンガは黒人を毛嫌いする白人ですが、お金のためにシャーリーに同行して運転手兼用心棒を引き受けます。
シャーリーは教養豊かな紳士の黒人ですが、バレロンガの問題解決力を評価し、ツアー中の用心棒に雇います。
なぜシャーリーはバレロンガを用心棒に雇う必要があったのか?
それは当時アメリカ南部は奴隷制度の名残があり、白人至上主義の土地柄で、黒人が旅行するには危険な地域だったのです。
そこで黒人が南部を旅行するのに必需品だったのがタイトルにもなっている「グリーンブック」。グリーンブックとは、1950年前後に黒人が利用できるレストランやホテルを紹介した黒人のためのガイドブックです。つまり、このグリーンブックに載っていない店では、謂れのない暴力や嫌がらせを受けることになるのです。
シャーリーは何故、身の危険をおかしてまで南部でツアーを行ったのか?
バレロンガはツアーを共にし、シャーリーの音楽を称賛すると伴にツアー決行の真意を知った時、バレロンガは自分の持っていた黒人に対する差別意識が偏見であることに気付いていくのです。
お互いを理解し合い、認め合うことで、二人の垣根は取り払われ、後に二人は生涯にわたる友人となっていくというアメリカにあった実話。
シャーリーはホワイトハウスでケネディー大統領の前で演奏したこともある天才ピアニスト。バレロンガは後に映画「ゴッドファーザー」で俳優デビューしています。
差別という重いテーマを扱いながら、話のところどころで笑い(ちょいちょいバレロンガがやらかします)が織り交ぜられていて、どんどん作品世界に引き込まれていきます。
この白人至上主義や黒人差別という1960年代のアメリカ社会の抱える暗部を描いていますが、現在のアメリカにも垣間見られます。
アメリカ南部の黒人差別が根強いのは、昨秋観た「LBJ ケネディの石を継いだ男」というケネディ(JFK)大統領暗殺後、その意志を継いで人種差別撤廃を目指して公民権法や投票権法を成立させたリンドン・べインズ・ジョンソン(LBJ)副大統領(ケネディ暗殺後大統領に就任)を描いた作品にも見受けられてました。
私たちの回りにも差別が見受けられます。
障害に対する知識不足のため、無意識に差別してしまうことがあります。
ある時、同じ言語訓練施設に通っているお母さんが、その施設に対して不満があると言いました。
聴覚障害児のための訓練施設だから通わせているのに、最近発達障害児も受け入れて言語訓練に通っているから嫌だと。
これを聞いて愕然としました。
聴覚障害があることで差別されるかもしれない立場から、無意識に発達障害児に対して差別的発言をしているのです。
コワい話です。
立場が変わるだけで差別される側から差別する側へいとも簡単に陥ってしまう。
日常の無意識に潜む落とし穴に気をつけなければいけません。
聴覚障害児だけでなく、発達障害児といっしょに訓練することで、発達障害という別の障害に触れる機会を得、世界の多様性を意識するきっかけになってほしいと私は考えます。
少し話題が脱線してしまいました。
「グリーンブック」は今年のアカデミー賞で作品賞などの3部門を受賞したのも頷けます。
ちょいちょい挿入される笑いは、英語ならではの笑い所もあるので、字幕スーパー版でご覧になることをオススメします。