かわいい子には旅をさせよ
「かわいい子には旅をさせよ」ということわざを、「かわいい子どもには、いっぱい旅をさせて、楽しく見聞を広めさせよ」と理解している人がいる、という笑い話があった。笑い話ではないかも。もう、多くの人がそう思っているかもしれない。本来の意味は「子供がかわいいなら、甘やかさないで世間に出して苦労をさせたほうがよいということ」広辞苑的な解釈である。旅というものはつらいし、トラブルがあっても自分で何とかしなくてはならないから、精神力も鍛えてくれる、そういう時代の旅なんだね。だけど、最近もっと違う意味もあるんじゃないかと思ってきた。知人が、娘を留学させることになった。一年間オーストラリアに行かせる。すると、その知人がずっと心配しているわけだ。「事故はないだろうか。病気にならないだろうか。現地人に襲われたりしないだろうか」聞いているこっちがいらいらしてくる。「そんなこと、行ってみなければわからないだろう。危険を恐れて、子どもの成長をはばんでどうする。昔から言うだろう? かわいい子には旅をさせろって」と自分でいって思ったわけだ。そうか、これは親の心得を説いたことわざだったんだって。子どもが旅に出るとき、実は子どもより親の方がつらいのである。