中野つむぎ塾 代表の伊藤です。

11月23日土曜日の中野つむぎ塾の活動報告です。

この日は特別編成・・・というか本当は2ヵ月に1回はやりたいのですが年一で合計3回目の伊藤による集団授業。

通常の学習は普段の1時間半から50分ずつの2コマ編成。

今回も定期テストの見直しを中心に行いました。

 

そして3コマ目は集団授業に・・・

1回目テーマ《勉強はなんのためにするのか》
2回目テーマ《消費増税 賛成?反対?》

そして今回は《ホームレスについて考える》

毎回「生徒自身の未来にとって大切なセンス」を意識して行うのですが今回は無料塾という性格の空間で《生活困窮、ホームレス》という課題を扱うので一番悩みました。

けど生徒自身も高校、大学と進む過程で様々な事情で生きづらさを抱えている人との関わりが増えるはず。

やはり大きくなればなるほど哀しいかな世間の空気や同調圧力に沈みがちになってくる。

だからこそネガティブで繊細なことに対して答えは出なくても自分で考えてみて欲しい。そんな気持ちでテーマを決断しました。

先ずは中野つむぎ塾が《カフェ潮の路》で始まったこと(今の生徒は知らない子がほとんど)。カフェ潮の路がどんな場所であるかということ。そして運営する稲葉剛さんの25年以上の地道な活動の上に救われた人がたくさんいることを伝えました。
稲葉さんの活動を伝える動画も使いました。

 

 

その上で議論テーマには
《台風19号時の台東区避難所ホームレス追い出し問題》をあげ、
①みんなはこのホームレスさんへの対応をどう思うか
②もしみんなが台風避難している避難所にホームレスさんが来て横に一緒に寝ることになったらどうだろう。

この2テーマで話し合い。ボランティアの先生が難しい点をフォローしながら議論していきました。

『絶対助けるべき』…OK!
『臭いから来て欲しくない』…OK!

議論から生まれた答えはすべてOK。
このテーマで考える、ということだけでも素晴らしい!

ただ授業の最後には生徒達に僕の少ない現場経験と知識で『これだけは分かって!』と話しました。

『「怠け」でホームレスをしている人はほとんどいない。半分くらいの人が精神疾患や高血圧などの深刻な病があったり、また様々な障害のために一度働いても人とうまくやれなかったりを繰り返してしまうのです。むしろ頑張り続けて疲れ果ててしまっている人もいます。だから「怠け」ではない。これだけは知っておいてね』

そして・・・

生徒のディスカッションはどんな答えもOKでしたが、実は最後に僕のの『自論』を少し…いや短いけど熱く話しました。

僕が一年間、渋谷でホームレスと関わった時の実際の話を紹介しました。
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12月末。気温0度。
ハチ公前の東急電鉄に降りる階段には夜中にホームレスの方がいつも集まる。風が避けられるから。

ちょうど70歳だという叔父様に話しかけました。

伊藤「こんばんは。寒いですね。お茶どうぞ」
と駅前の自販で買ったホットのお茶を手渡し、その流れでお話しました。
伊藤「お身体の調子はどうですか?」
叔父様は
「辛いよ。血圧高いから。前に糖尿病とも言われている」

伊藤「信頼できる支援機関紹介しますよ」
すると叔父様は、
「信頼なんかできないよ。前にも『助けますよ』と近づいてきた支援機関の人に言われるままに横浜のほうで生活保護申請して決められた所に住んだ。小屋みたいな狭いところ。そして貰った生活保護費をほとんど取られて…」

伊藤「悪いビジネスが流行ってますよね。渋谷区役所には申請したことあります?」
すると叔父様は、
「弟がいると言ったら『弟に面倒見てもらえ』と追い返された。絶縁してるから何処にいるかも分からないのに」

伊藤「1人で申請行くと向こうはやはりマニュアル通りなんですね…」
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そして生徒たちに…
公民かな?授業で日本国憲法を習うよね。
あと基本的人権て習うよね。その中にある憲法25条って何だっけ?
そう《生存権》
「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある」と。


すべての人の権利なんだよね。そして憲法は全般に国が政府が行政がその実現に最大限努めるべきもの。でもどうだろう?ホームレスの人は健康だろうか?さっきも言ったように精神疾患など多くの人が病気持ちだ。最低限度の生活をできているだろうか?真冬の0度にさらされて耐えている叔父さんは最低限度の生活を送れている?多分そうじゃないよね。おかしくない?今日は『ホームレス問題を考えよう』というテーマだけど、そもそもが生存権がある中で『ホームレス問題』があること自体がおかしい。気温0度で70歳が真冬の風に晒されている。その叔父さんが生活保護を申請したら行政が追い返している。
生活保護…弟がいたらダメ?車があったらダメ?そんな線引きルールで測れるほど人間の事情は単純じゃない。家があろうが家族がいようが、すべての状況を勘案する。その上で最低限度の生活が送れないとなれば保護する。それが憲法25条の実現に努めるということじゃないだろうか?人間を線引きで排除する姿勢こそ憲法違反ではないだろうか?

そこで最後に本当は「おかしいことはおかしいと国に政治に伝えていこう。スウェーデンの16歳の女の子が世界を相手に権利を主張している。みんなも1〜2歳しか変わらない」とか言うつもりだったけど10分押しのため断念しました。

 

 

 

う〜ん。もっと時間配分の上手さとノンバーバルを身につけたい…