「どんな歯磨きをすればいいんでしょう?」
というご質問を患者さんからよく受けます。
この質問にお答えしようとすると、少々くちごもってしまうのですが、これは答えられないからではありません。
ありあまる情報量があって、どこからお伝えしていいか分からなくなるからなんですね。
たかが歯磨き、されど歯磨き。
結構歯磨きの世界は奥が深いのです。
その奥深き歯磨きですが、ざっと項目をあげて説明していくと下記のような項目についてご説明することになりますが、またその一つ一つに色んな枝葉がついていくので、とても一口では説明しきれません。しかし、まあ、とりあえずその項目を並べ立てていきますと、
1・一日にどれぐらいの回数を磨けばいの?
2・使用する器具はどんなものがいいの?
3・歯ブラシ以外の補助清掃用具は使った方がいいの?
4・補助清掃用具はどんなものがいいの?
5・歯磨き粉はどんなものがいいの?
6・出血するんだけど、どれぐらいの強さで歯ブラシを当てたらいいの?
7・電動歯ブラシとかはいいの?
8・リステリンとかのゆすぐ薬剤はどうなの?
9・食後すぐに磨くのがいいの?
10・子供にはどんな風に歯磨きを教えたらいいの?
ああ、今簡単に思いつくだけで20以上は出てくるんですが、そんなの全部書いても仕方ないので、とりあえず10個並べてみました。
たくさんありますね。
この一個一個に全部記事が書けるぐらい言いたいことはあるのですが、今日は歯医者が考える理想の歯ブラシについて書いてみます。
いや、理想をいえばキリがないんですよ、本当に。
やり出せばどこまでも上はあります。
本当に奥が深いんです。本が一冊書けるくらい。
具体的に言うと、歯垢の欠片もつけないような歯磨きが理想なんですが、そんなことは不可能なので、ギリギリ出来そうなラインを書いてみましょう。
1・歯磨きは1日に5回(食後3回+起床してすぐに+寝る前に)
2・一回の歯磨きは2~3分でもOK。でも、これは歯ブラシだけにかける時間。
3・補助清掃用具はフロス(糸ようじ)と歯間ブラシを使用する。これは毎回でなくてもOK。ただし寝る前にはやること。
4・補助清掃用具が終わったら、リステリンなどでゆすぐ。
5・食後の歯磨きは、30分後ぐらいがベスト。昔は5分以内とかと言われてましたが、最近の研究では30分後ぐらいが良いとされてます。
6・1~5をやってなお、6か月ごとに歯科医院に行って、検診と歯石とりをしてもらう。
7・歯ブラシは1か月ごとに交換。
これが理想かなあ。
いや、理想ではないです。これぐらいやっててもらえれば、合格点。
これでも足りないとか言うと、きっと、
「ええ!そんな無茶苦茶言うなよ!仕事とか育児とかあるのに、そんなに歯磨きばっかりしてられるわけないじゃないか。そもそもそんなに歯磨きばっかりしてたら、歯が削れちゃうよ!」
などという声まで聞こえてきそうです。
確かに5回は大変かもしれませんが、でも歯ってそれぐらいケアしてあげてもいいぐらいのものなんですよ。
3回でも多いくらいだとお考えの方は、歯というものの価値を少々低くお見積りです。
歯の一本の価値を換算すれば、僕は100万円でもかなり安いと考えています。
歯の価値換算については、また記事にしますけど、本当に貴重なものなんです。
まあ、それはさておき、適切に歯を磨けば、5回磨いても歯は削れません。
削れてるとしたら、それは磨き方が悪いのです。
では、どんな磨き方がいいのか?
という具合に書いていくと、またキリがないんですよね。
とりあえず今日はここまで。
今日の記事の要点は一つ。
歯は5回磨いてもいいぐらい。それでも磨き過ぎじゃないんです。
以上。