✨【二人の距離が縮まる夜 ― 静かにほどける心】

その夜、私はふと空を見上げた。
やわらかな月の光が滲んで見えた。

胸の奥にあった緊張や不安が、
少しずつ溶けていくような気がした。

そのときだった。
彼(彼女)から一通のメッセージが届いた。

「今、何してる?」

その何気ない一言に、
鼓動がゆっくりと波紋のように広がった。


言葉を交わすたび、
どこか心が深呼吸をしているようだった。

焦りがない。
駆け引きもない。
期待も試し合いもない。

ただ“そこにいてくれる”という安心感だけがあった。

会えていなくても、触れていなくても、
今はもう、孤独じゃない。

そんな気持ちが胸いっぱいに広がっていった。


少し沈黙が続いたとき、
私はそっとメッセージを送った。

「また話せて嬉しい。今夜は、なんだか安心してる」

すると彼(彼女)は
少し間をおいて、言葉を返してきた。

「…うん。僕(私)も。
 なんか落ち着くんだ。理由は分からないけど」

その短い言葉の奥に、
触れたら壊れてしまいそうなほど
繊細で、まっすぐな気持ちを感じた。


きっと二人とも、
同じ夜空の下で、不器用な心を見つめていたのだと思う。

過去の痛みも、不安も、恐れも、
すべてが一瞬だけ静まって――

“それでもこの人と繋がっていたい”

その気持ちだけが、
澄んだ音のように胸に響いていた。


その夜、携帯をそっと閉じたあと、
私は静かに目を閉じた。

言葉より深いところで、
魂同士が寄り添っていた。

会ったわけでも、抱きしめたわけでもないのに、
こんなにも満たされている。

“あぁ、もう大丈夫だ”

そう思えた瞬間、
微かな涙が頬を伝った。

(次回「ゆっくりと始まる愛 ― 心が重なりはじめる朝」へ続く)

 

ツインレイの出会い、そしてサイレント | セレスナビア