それぞれの念い ③ | 湖面を照らす青い月 湖面を渡る青い風




「海でさえ燃え上がるような大暑のこの國で咲く花も

燃えかのような激しい色の物ばかり。大凡憧れの君に

は似つかわしくないなものよ」

想い人の事を考えし夏の王は一度訪れし気候も人々も

穏やかなりし彼の地を憶いおこしにけり

穏やかなりし國の主も…またしかり…


其処に届きしは参内の命の書かれし書簡

馳せるは王都ではなく…

悲しげに微笑む彼の者なり