それぞれの念い ② | 湖面を照らす青い月 湖面を渡る青い風





「此のよように、一年の多くを凍てつく大地に覆われた

地にいったい何を求めればよいのか…」

氷の大地に下に咲く花々に目を落としし王は、

「せっかくの春の國より送られた美しき花もこのように

枯れる事無く凍ってしまう…よいのか…悪いのか…。私

には其の生を全う出来ぬ花を哀れに思うがな」

そろそろ参内の時期なりて北の王は花の送り主春の王の

貌を想い浮かべたるにほくそ笑む

あの心優しき王を手に入れらば己が領土は広がり…

「大都に住まうあのいけすかない王に一泡ふかせてやれ

るものにな」


先祖の犯した罪にて流刑同様に流された北の大地で育った

王は野心家なりて最初に狙うは…東の春の國の王なるか…