不遣雨 93

隣で静かな寝息を立てて眠っている智。

肩が毛布から出ている。

触ると冷えていて…そっと毛布を肩口まで引き上げた。

智がくすぐったかったのか少し身じろいだがそれから

少しするとまた静かな寝息を立て始めた。

ほっとしてそっとベッドから抜け出すと腰にタオルを巻

いてスマホを手に窓際にいく。

カーテンを少しずらして外をみる。

まだ夜明け前の街を見下ろしても見えるものはなんの希

望も感じられない闇の世界だった。

昼間見た時はあれほど鮮やかだった街の青も暗闇のな

かではその青さゆえに一層闇が深くなっているように

感じるのは…俺だけだろうか…


そんな奈落のような闇を見つめ乍ら電話をかける。

日本に…

此の時間なら日本に電話を掛けても…大丈夫だろう。

何度かコール音だけが響き…今回は諦めて切ろうとし

た瞬間にコール音が止んだ。



「…翔さん？」

「…松本……」

「今…少し話てもいい？」

「ああ、俺は構わないけど…」

「ありがとう」

「智くん…行っただろ？」

「ああ…来た」

「…なんだ不満そうだな」

「…不満だらけだ。なんで引き止めてくれなかったんだ

よ」

「お前自分勝手」

「…一人で逃げたから智くんが追いかけた。ただそれ

だけのことだ」

「……それは！」

「智くんの想いは決まってた。多分記憶が戻ったときか

ら…ただ、俺たち二人とも…吹っ切れていなかった過去

に捕われて答えを見失ってただけだ。だから…智くんは

お前の元へ帰っていっただけ。本来居るべき場所に自分

で…な」

「おまえ…智くんが記憶を取り戻さなかったら…どうす

るつもりだったんだ？」

「それは…」

「自分が居なくなった後のことを考え乍ら…それでも最

期まで智くんと一緒に居たんじゃないのか？」

「それは…」

「だろ？」

「いきなり真実を告げたって…記憶のない智くんには…

逆に酷だろ？」

「……」

「経緯はどうあれ、俺にも原因の発端はある。総てをお

前の所為なんかにはしないさ」

「ごめん、…翔さん」

「……」

「実は…お願いがあって」

「なんだよ、改まって」

「俺が…いなくなったら…大野さんを…迎えに来て欲し

い」

「…断る」

「なんで？」

翔さんからは想いかけない言葉が返ってきた。

「　大野さんが…本当に心の底から想ってるのは…俺な

んかじゃない…翔さんだ。だから…迎えに来てあげて…。

大野さんの性格じゃ…戻りたくても戻れない…、戻らな

いと思うから」

俺はカーテンを閉め出窓部分に腰掛けた。

「戻る戻らないは智くん自身が決めることだ、松本」

「でも…」

「大丈夫、俺はこの先もずっと智くんを想い続けるから…

お互いの想いが同じなら…いつかまた…巡り合えるって

想ってるから」

「そんなの…」

「昔…約束したことがある…。智くんがその記憶を取り

戻してるかは分からないけれど…俺と…智くんに本当の

『縁』ってヤツがあれば…その時は…もう二度と離さな

いけれど…今はその時じゃない。だから…おれは待つこ

とにしたんだ」

「…翔さん」

「ごめん、お前が早く…なんてそんなこと此れっぽちも

思ってないから。負け惜しみなんかじゃない。俺にとっ

てもお前は大事な仲間だ、そうだろ？」

「…ありがとう…」

こんな俺を今も仲間だって…思ってくれて…

必ず…返すから…翔さんのもとへ…

俺が…あの世ってやつに逝ったら…

必ず…返すから…

「あ、それからこれからどうすんだ？其処に暫くいるの

か？」

「多分そうなると思う」

「病院には？」

「大丈夫、ちゃんと行くから」

「そっか。なんか必要なことがあったら…遠慮せずに連

絡しろよ。俺が気まずいならニノでも雅紀でもいいから

…二人とも…心配してるから」

「うん…うん…ありがとう、翔さん」





電話が切れて暫くすると外が微かに明るくなって来たよ

うな気がしてカーテンを再度少しだけ開ける。

其処には昇り始めたオレンジ色の太陽の光が劇的に街の

色を変え始めていた。

未来を感じさせるその光景に俺の心が少し軽くなった。

まだ大丈夫。

まだ…大丈夫、

俺は…まだ大丈夫。

呪文のように繰り返す


そして…思い出した。

あのプラハで、俺が祈ったこと。

『智が倖せでありますように』

智はどんなことを願ったかは分からない

でも…智が何気なく言ったことが今になって頭の中を

駆け回っている。

智は…以前翔さんとプラハに来たことがあったらしく…

もちろん戀人同士だった二人だ…

二人がどんなことを願ったかなんて…容易に想像出来る

だけに…翔さんの言った約束も想像がつく。


あの日…時間がなくて…

掛けることが出来なかった南京錠も…

必然だったのかもしれないと…

そんなことを思った…


智…

愛して…

ごめん。

こんなにも…

愛してしまって…ごめん。

もう少し時間貰うよ。

そして…

総てが終わったら…

俺が必ず…

翔さんのもとへ返して…あげるから……

愛を叫べ!! ④《完》

このアイ・ラブ・ユーを　親愛なる人に

あんたは今でも俺らのアイドルさ

みんな大好きだぜ

だからこそ、

『永遠に愛し合って』

おめでとう、倖せになってくれなきゃ困るんんだ

諦めた甲斐がないってもんだからさ。

だから、

素晴らしい未来へ愛を叫ぼう、皆で！！


ダーリン　ダーリン　ダーリン　泣き乍ら笑え

俺らの心の痛みを祝福ものせて

ダーリン　ダーリン　ダーリン　おめでとう

此れこそがトゥルーラブ

おめでとう！！

俺たちのトゥルーラブ！














「あいしてるよ、智」

「おいらも、翔」




やってらんないこんな倖せ

先を越された俺たちもいつかはお前らが羨むような

倖せ掴んでやるさ


それでもあんたはずっと俺たちのアイドルさ



さあ、みんなで叫ぼう


『愛』をさ！！

愛を叫べ!! ③

今　アイ・ラブ・ユーを最愛なる人へ

君へ贈るよ『愛してる』を。




『ありがとう、翔』

さあ、行こう。

皆待ってる。





悔しいけれどあいつはお前にお似合いさ

降参するから

約束しろよ。

『世界一倖せになるってさ、智』

こんなに沢山の祝福、乾杯、拍手　喝采

倖せってきっとこのことなんだろ、

ちきしょう

泣けて来るじゃねーの


素晴らしい未来へ　鐘を鳴らせ

愛を叫べ!! ②

このアイ・ラブ・ユーを

今、親愛なる人に贈るよ

あんたはやっぱり俺たちの最高のアイドル

みんな大好きだぜ

『だから、永遠に愛し合って』

おめでとう、倖せになってくれなきゃ困るぜ

お前は俺たちの永遠のアイドルを独り占めするんだから

すばらしい未来へ向けて　愛を叫べよ！！

それが俺たちへの礼儀ってもんだぜ、翔


眩しくてちょっと照れくさいけど

今日は此の世界中の誰だってあんたに惚れるぜ

そんなお墨付きの俺たちのアイドル

今日は此処にいる仲間が証人さ


一緒に踊ろう　世界中がラブ＆ピース

語ろうじゃないか、想い出を

変わらないあのころのまま

還ってゆく１７歳の俺たち

愛を叫べ!! ①

思えばさ、

俺たち皆長い付き合いで

欠点なんてあんまないけど

欠点もそれ以上に沢山ある素敵なところも

なんでも知ってる俺たちだけど

こんなに…奇麗だったなんて…知らなかったかな

そう、今日は世界で一番奇麗だぜ

こんなに奇麗にしたのが俺たちの仲間なのは

嬉しいけど…

ちょっとってーか、

かなりやけるけど


おまちかね、

俺たちの憧れの的だったあんたに

あの頃と変わらないメンバーで

とっておきのお祝いだ







懐かしいな

たちまち想い出のあの頃に還ってく

やっぱりあんたはスパーアイドル

高嶺の花なのは変わらない




《ピングーさんのリクエスト》

『テレガイ』超絶キュ〜ト智くん

おはようございます。

ご訪問ありがとうございます。

お時間がありましたら暫し御付き合い下さいませ。



先ほど購入の『テレビガイド』

本当にきゅ～と。

智くんの明るい髪の色好きだな～やっぱり。

嵐さんのなかで一番似合うような気がするんです。

なんか天使感とか妖精感が倍増する（笑）






それから勝手に大宮萌を～（笑）












と、いうことでまた後ほど～




此処迄御付き合いいただき本当にありがとうございます。

皆さんのご訪問や頂くコメント、メッセージ、いいねに

とっても励まされています。

本当にありがとうございます。

お時間がありますときにまたお立ち寄り頂けましたら光

栄です。



此のご縁が続きますことを…

『愛を叫べ』フラゲ

こんばんは、

ご訪問ありがとうございます。

お時間がありましたら暫し御付き合い下さいませ。


今回のシングル…

カップリングが当たりだ！！

と感じた雪蟲。

通常版の『It's good to be bad』のピアノだけで始まる

前奏、その後の出だしのニノちゃんのソロからの智くん

のソロ～～♡

此処だけでやられた雪蟲。

その後は最初のピアノ一本のアコースティックな印象と

は打って変わってエレクトリックな感じになるんですが…

出だしが良くて（笑）何度も聴いてます。

全体的に智くんの聲が前面に出ててうっとりです。

『ユメニカケル』もテンポよく智くんのソロ部分が素敵

過ぎてメロメロですね。

CMでおなじみのところなんですが…イヤホンで聴いてく

ださ～い。

あ～このままずっと聴いていたい、聴かせて、お願い！！

ってなりますよ（笑）

…ごめんなさい。雪蟲はサトシックなんで（爆）

そして…

『I say』これ～！

曲調もいいんですが…詞の内容が～。

たまりませんよ。

大宮でなにか書きたい～！

『Fly』以来の衝動です～

大人の事情ある戀？愛？


『また出逢えるなら　”誰か”のままでいい

だから……』

ん～いいわ。

危険な匂いもする～（笑）

ただ今リピリピ中です。


初回版のDVDも時間にして約一時間。

見応えはありますね。

今回も大宮健在でニマっとし乍ら見た雪蟲でした。

pvにメイキング、振り付けビデオはほぼ定点だし。

JALの記者会見等はサトシックには超お得だったのでは？

と思っております。



やっぱりね。

ドキドキするし、体温急上昇、血が全身を駆け巡るこの感じ。

蘇りました。

『Mステ』では感じられなかった感覚。

よかった。

私まだ枯れてなかったよ～（笑）






話はかわりまして…昨日久々に更新できなくって…

今日も夕方からだし…


実は一週間程前に寝違えまして首を痛めたんです…

その後もなかなか思うように回復せず…

参っていたのですが…

漸く少しましになったその夜、また同じところをやりま

した（爆）

首は動かない（痛いので動かしたく無い）、頭の重みを

ひしひしと感じ(中身はスカスカなのに～）

手で頭を上に上げてみたり（笑）

と、いうことで少しPCを自粛しました（爆）


取り敢えず、いちご月間…頑張ったような気もするし（爆）

ま…いっか…ってね（爆）



さて月が変わり９月。

通常運行でいきます～。

テーマを毎回決めるのは…簡単ですが…

書くのは大変（爆）

ということで今月は自由～にね。

『君はいないから』ポストカード当選者様の発表

こんにちは。

ご訪問ありがとうございます。

お時間がありましたら暫し御付き合い下さいませ。



さて…『君はいないから』以外の正解者さんへのポスト

カード一日遅れてしまいましたが本日発送あせて頂きま

した。

『君はいないから』

正解者さんは１１名様。

内、ご辞退の方と今回他で正解されている方はごめんな

さいさせて下さい。

ポストカードの内容にたいした違いがないので同じよう

な物が幾つもあっても…

と思いますので。

ということで

『君はいないから』



上位５名様

☆うさ３１０さん、サトメグさん、nononさん、
　
　　ちょこぱんさん、まおっこさん

ポストカード発送時に頂いた個人情報のコメントは削除

させて頂いています。

『それでOKだよ』

とおっしゃれられる方は送り先を此の記事のコメント欄

よりお知らせ下さい。

よろしくお願いいらします。


ということで、毎回になってしまう方もいらっしゃいますが

お手数でもよろしくお願い致します。…


①ハンドルネーム

②お名前

③〒番号からの住所

④やま多めあるいは、大宮お目、智オンリーとか？（笑）

　ご希望がありましたら御知らせ頂ければ善処させてい

　ただきます。なにも無い場合は勝手にセレクト便に。



よろしくお願い致します。

君はいないから《image》

君はいないから

遅めの時間に目覚めるとカーテンを開けて窓を開ける

爽やかな風を期待していたわけではないけれど…

ムッとした湿った空気に気分が少しめいった。

窓を閉めて冷房を入れる。

たまった洗濯物を洗濯機に突っ込んでスタートボタンを

押したところで洗剤を入れ忘れたことに気付く。

まだまだ…だな…

、とこんなとき想うのは決まって君のこと。

案外几帳面だった君は俺の部屋に訪ねてくる度に洗濯機

を廻してたっけ。だから、洗濯物は溜まらなかったし、

部屋も奇麗だった。…君が…奇麗にしてくれてたんだと

改めて『ありがとう』と感謝する…

君に…伝わるといいのに…なんて想うのはまだまだ俺が

吹っ切れていないこの証拠かな…

でも、君料理は苦手だったよね。

大抵は俺が作ってた。

そんな俺の料理、失敗しても『美味しい美味しい』って

食べてくれる君が可愛くて…

俺は大好きだったのに…



憎しみ合ってた訳でもない。

喧嘩をした訳でもないのに…

突然終わった俺らの関係に未だ戸惑っているのは俺だけ

なのかな…





君と付き合ってたあの頃が少し懐かしくって…

久しぶりの休みに感傷的になっている。

君のいない家に閉じこもっていても…

楽しいことは何ひとつないし、思い出すのは今日に限っ

て君のことばかり…

だったら思い切り感傷に浸ってみるのも悪くもないかな…

なんて、思い切って出かけることにした。

あの頃は乗っていなかったバイク…そのバイクに乗って

出かける。

エンジンを掛けて…

また余計なこと思い出した、

あの頃は、スケボーに嵌ってていつも小脇にかかえて

たよな…なんて。

でも今の俺の相棒はバイク。

それだけ歳月も流れたんだ…な…と思う。


君は…どうしてる？


バイクを買った日にスケボーは押し入れの中にしまい

込んだ。

あれから見かけてないけど…

今でも俺の部屋の押し入れにあるのかな…


勢いよくエンジン噴かしてバイクを出した。

風を切る。

この感覚が気持ちよくて…ちょっと遠出。

懐かしい街の筈なのに…

気付けば見慣れない空き地が目に入る。

「ね…智。

ここ…なんだったけ？」

振り向いても…そう話掛ける相手はいないのに…


そして、

付いた先が遊園地ってのもな…と思ったけど…

まいいか…

と今日は、独りで観覧車に乗る。



係員さんに少し不思議そうな目で見られたけどね。


『いいじゃないか、男一人で乗ったってさ』

まるで逆切れ。

心のなかでぼやいてみた。

徐々に高度を増して行く。

移り行く外の風景にちょとだけ感動して…

何となく自撮りしてみた。

『観覧車　なう。』みたいなさ…

あの頃はツーショットで…さ…

君の肩に手を回して…撮りたくて。

でも恥ずかしくて…掴めなかった君の肩。

今はそんなもどかしい想いはしなくていいんだな…

だって…君は…




街の雑踏。

独りじゃ逸れるわけ無いのに…

なんでも見つかる此の街で今も…

時々探す君の背中は見つからない

いつになったら君のこと忘れられるんだろう…

と想うこともあるけれど…

多分想い出にはなっても忘れることなんてできやしな

いんだろうな…と想ったりするのさ、だって…

こんな雨の日は人を少しセンチメンタルンな気分にさ

せるから

高速道路の真下のあたりで雨が酷くなって動けなくなっ

た。

髪が濡れたって、跳ねたって構いやしない

シャツのボタンが一つ外れていても

今はなにも気にしなくていい

気楽なもんだよ

暫く雨宿りしてたら…雨が小降りになった。

君は…雨に濡れていないかな…

そうして俺はまたバイクに股がった。



アパートの傍のブロック塀に迷い猫の貼り紙

俺の心もまだ迷ったままだけど…

人は独りでも…生きていける

生きていくことは出来るけど…さ…

君がいなければ世界の色は半減し

俺の言葉も半分以下になるって…

今頃になって気付いたんだ

ポケットらら出した鍵には君が俺にくれた手作りのキ

ーホルダー



だめだな…

これじゃあ…

部屋に入って…

思い切ってキーホルダーを外しゴミ箱に放り込んだ。

濡れた軀が気持ち悪くてシャワーを浴びて…

頭を吹き乍らバスルームから出て最初に目に飛び込ん

だのは裸の鍵だった。

『え？　なんで？』

………

自分が外したことを思い出し…

俺はゴミ箱から拾い上げたキーホルダーをまた…

定位置に戻して玄関脇の下駄箱の上に置いた。


まだ吹っ切れそうにない過去の戀。



……君以外と戀に墜ちる日がくるのかな…


それには君にちゃんとフラれないといけないのに…

それもできない


だって…君が……




窓の外は虹

けれど俺の心の中は当分…雨のまま…