内閣府は、「こども未来戦略」において、妊婦の経済的負担の軽減に取り組むことを明言しています。
2024年春には「出産の見える化サイトのオープン」、そしてその後は2026年を目途に、分娩を保険適用にすることも検討するとのことです。
これまで日本は「出産は病気ではない」という理由で保険適用されてこなかった。
その根幹が崩れるとどうなるのか?
ずっと自由診療で民間施設も多かった日本の出産はどうなるのか?
そのメリット デメリットを考え、保険適用となった場合のルールとお金の体制は納得いくものにしないと大変なことになる。
というわけで、ルールを検討するためにもまずは勉強と思い、最近はオンラインで様々な講座を受けている。
昨日は『海外の出産システムを学ぶシリーズ』第1回でオランダ
【Special Vision #14】海外の出産とお金を学ぶシリーズ第1回 オランダの出産システムを知ろう! | Peatix
オランダのロッテルダムで「産褥訪問看護師(クラームゾルフ)」として活躍している日本人助産師さんのお話を聞きました。
産後ケアに特化した「クラ―ムゾルフ」という専門家がいて、産後8日間、家庭訪問に来てくれます。家事などクライアントの希望をなんでもやってくれる。料金は、保険がカバー。
オランダは産科医と助産師の住み分けがしっかりしている。
健康な人のお産は助産師。
不妊治療後の妊娠や病気など何らかの問題がある人のお産は産科医。
助産師の地位がしっかりと確率されている。
助産と看護の違い | ~なないろ通信~ 古川明美 (ameblo.jp)
病院出産の場合、母子の経過が良好であれば通常は数時間、何かあっても1日程度、日本よりずっと早く退院。
その後は自宅で 母子の産後のケアを産褥看護師が行います。
自宅出産は経済的であり安全、母乳育児が母と子の健康にどれだけ優れているかを国として推奨し大切にしている。
オランダでは母乳育児の第一歩として精神を安定させる時間を大切に生まれてすぐの母子を離さない。
日本のように「お母さんゆっくりしてね」と、新生児を預かる母子分離のケアはあり得ない。
・突然死の防止
・母乳育児の確立
・虐待防止
・母親のメンタルヘルスを支える
この4点を目標にケア
出産当日から産後8日間の間に49時間まで保険適用。
母乳育児を希望する場合は49時間、人口栄養は45時間と母乳育児が手厚くなっている。
追加ケアも助産師の判断で80時間まで提供できる。
オランダの妊産婦の96%がクラームゾルフを利用していて、褥婦の95%がケアに満足していて、80%が自分とベビーのケアに自信を持っている。
このオランダの出産システムを聞き
今日は『きくちさかえお産学講座「出産の社会デザイン学」』に参加。
テーマは 産科的身体管理・ハラスメント・暴力・麻酔分娩
日本の産科の現状を聞くと不安になった。
多くの先進国が国営の医療(保険適用)だから日本も・・・そんな単純には言えない現実。
日本は産科医の多くが医師主導。
出産時の女性が、意に反して、または同意なしに薬を与えられたり、会陰切開される。
誰が主権者で、誰が意思決定するのか。
意思決定に必要な情報を平等に開示されない。
こうした状況で 保険適用となったら
助産師の在宅ケア「待つケア」は保険適用となるのか?
マタニティクラスなど女性の主体性を育む 大切な細かいケアはどう評価されるのか?
点数加算目的で不必要な医療介入、不必要な会陰切開や帝王切開が増えないか?
産むも産まないも個人の権利、中絶も保険適用となるのか?
病院だけでなく、助産院出産や自宅出産も適用になるのか?
疑問がたくさん沸いてきます。
女性の意思ではなく自動で脚を開閉する、医師の目線で作られた内診台にのり、自尊感情を損ねる声掛け、不要な内診、不要な投薬、強制的な医療介入。
それが当たり前だと思っていた。
何も知らなかった。
お産のトラウマ、傷ついた記憶に、何年たっても苦しんでいる女性が多くいる。
大切な情報を知らないままお産 | ~なないろ通信~ 古川明美 (ameblo.jp)
そんな産科暴力と闘ってきた、湯河原町議となった産科医早乙女先生の言葉は泣けてくる。
分娩は性的な営みであり、膣は性器である。
医師は内診の快・不快を配慮し、治療の選択は説得ではなく納得を心掛ける。
早乙女先生のような医師も絶滅危惧種。
国は少子化対策の実現で 出産費用の保険適用導入を検討といいますが、お金の問題より、産科的身体管理を見直し、女性が主体的にお産ができる環境を整えることの方が大切ではないでしょうか?
自然分娩介助ができる助産師も絶滅危惧種です。
この技術が途絶えたら、産む人たちの選択肢がなくなります。(海外にいくか・・・)
この本を読んで納得したことをシェア。
2002年に法律改正により名称変更された。
保健婦→保健師
看護婦→看護師
助産婦→助産師
男性を看護士と呼ぶなど男女で名称が違っていたので統一することが主な目的だそうです。
そして「婦」より「師」の方が専門家イメージも強い。
でも今でも公式な場以外では「助産婦」です!と名乗る人がいる。
それの理由は「助産婦」を
「助産・婦」ではなく「助・産婦」
つまり産婦を助けるという意味で捉えているから。
そしてこの仕事はあらゆる専門職の中で、唯一、女性の仕事であるとの思いも込められている。
大切なメッセージがいっぱい詰まった本でした。
保険適用については、今後も注視していきたいです。
みんなで考え勉強する場所も作りたい。
そして、ミドワイフを応援していきます。