ファミリー・サポート・センター事業充実に向けての課題について質問しました。

 

ファミサポは、厚生労働省において定められた実施要綱に基づき、各自治体で取り組んでいる子育て援助活動支援事業です。

本市は、各務原市社会福祉協議会が受託をしています。

事業の目的は、子育てに関するサポートを受けたい利用会員と子育てに関するサポートを提供したいサポート会員、提供会員ということもありますけど、その相互援助活動、マッチングみたいな感じ。そうした連絡とか連携の調整を行ったり、地域全体で子どもを見守り、助け合い、安心して子育てができる環境づくりを目的とした事業です。

 子育て支援の充実を考えたときに、今ある制度の中でこのファミサポ事業はとても有効な制度ですが、本市は利用会員、サポート会員ともに少ない現状なので、より充実をさせるために幾つか課題について確認をしていきたいと思います。

ファミリー・サポート・センター事業|各務原市公式ウェブサイト (kakamigahara.lg.jp)

 

センター事業としての役割は、主に会員の募集、会員間のサポート活動の調整、会員を対象とする研修、会員の交流会の開催や広報活動などがあります。

 先日、愛西市のファミサポ実施主体であるNPO法人を視察しました。そこで印象的だったのは、市からファミサポの事業を請け負って一番最初にやることが、養成講座である研修内容と時間割を決めることだそうです。

研修の1番に、なぜ地域に子育て支援が必要なのか、ここをしっかり押さえる、これがポイントだとおっしゃっていました。

研修を受けることで、何のために自分は地域で何をなすべきなのか、自分にできることは何かを考える人が増える、これが狙いだというふうにおっしゃっていました。

 大切なことは、利用実績を増やしていくというよりも、ファミサポのサポート会員と利用会員が増えること、それはいつでも頼れる人がいるという安心の保険となり、会員が増えることに意味があって、保険に入る人が増えると安心が広がるよというふうに言われたことに大変共感をいたしました。

 

NPO法人れんこん村のわくわくネットワーク視察 | ~なないろ通信~ 古川明美 (ameblo.jp)

 

岐阜県内でも瑞穂市のファミサポが同じようにNPO法人が受託をしており、ここも以前、取組を学ばせていただきましたが、やはり愛西市同様、研修が大変充実をしています。サポート会員の登録は、どちらも各務原市より多いです。愛西市は令和5年4月の時点でサポート会員が204人、瑞穂市は本巣と一緒なんですけれども、令和5年3月時点でサポート会員が182名です。各務原市は令和4年末でサポート会員が61名で、人口は各務原のほうが多いんですけれども、いかに各務原市のサポート会員が少ないかという現状が分かり、ここを増やしていくことが今後の課題であると思います。

 そのためには、研修の充実が大切であるというふうにアドバイスをいただきました。各務原市の研修を調べてみると、過去5年間はほぼ同じ内容でした。

今年の研修の参加者は、3日間で13名です。参加者の内訳は、サポート会員が2名、利用会員が6名、一般の参加者が5名で、その一般参加者の5名のうちサポート会員につながった方は1名です。参加者もすごく少ないし、サポーターにもつながっていない結果を踏まえて、魅力ある研修内容としていく工夫があるなあというふうに感じました。

 研修内容の順番も、1番に持ってくるべき肝となる「サポートとしての心得」というのが最後なので、そもそも順番がおかしいと参加者の方からも指摘をされたと聞いています。

 講師は、ほとんどが市の専門職の職員なので、謝礼は発生しません。愛西市とか瑞穂市は、地域の医師や子どもの発達の専門家など、外部講師の名前を載せて募集案内をしています。

本市はプログラムだけ載っていて、講師の名前とかは記載がないもので案内をしています。社協への委託料、年間241万円のうち、研修費が48万円で見積りをしています。講師料はほとんどかかっていない状況なので、研修費に要した費用、会場費や託児費とかも要ると思いますので、その内訳を確認しようと思って決算を確認したところ、事業終了年度に年度ごとの人数とか利用実績の報告はあるけれども、事業収支の確認はしていないとのことでした。

 

古川質問 1点目

サポート会員の研修費48万円の内訳、実績の内訳です。委託した事業の決算を確認するべきではないか。

 

健康福祉部参与答弁

ファミリー・サポート・センター事業は、各務原市社会福祉協議会へ業務委託している事業です。委託業務は、決算の内訳まで報告を受ける必要はありません。しかしながら、事業全体については書面にて報告を受けて確認しており、研修についても職員が参加しております。

 

古川再質問

 いろいろ報告は受けているが、そこの確認を受ける必要はないと言われが、実績がどうだったかを確認しないと。

今回も調べてみて、研修の内容を充実させるために、講師料が出ないような予算であれば、そこは見直す必要がある。

研修の充実が必要だとすごく今回思った。瑞穂市なんかは2回やっていたりする。それができるような研修費の使い方をしているのかとかの確認は必要だと思う。受ける必要はないではなく、決算の確認をする必要があるのではないか。数字の報告を見る必要がないという理由を教えてほしいです。

 

健康福祉部参与答弁

決算を確認する必要性ですが、まず委託事業ですので、当然この決算には上がりも入ってきますし、全体を通してこの事業が確認できれば、委託した事業費で内容を決算するということはありませんので、それについては確認する必要はないと思っています。

 ただ、研修の内容については確認しておりますし、職員も参加しておりますので、それがよりよいものになるかどうかというのは、今後検討していきたい。

 

古川再々質問

最初の決算を確認する必要はないというところなんですけれども、じゃあ予算をつけるときの見積りが、それが妥当かというのはどうやって判断するんですか。

 

健康福祉部参与答弁

予算段階で研修の内容を当然確認しますよね。うちでやってほしいことというのは当然仕様書で出して、こういうことをやってほしいと。その中で社会福祉協議会から頂いた見積りが、それを執行するに当たって必要であるというふうで出てきたものが見積りになって、その範囲の中でやっていただけるのであれば、うちは研修として実施しておれば、それでいいというふうに考えています。

 ただ、うちの研修の内容が例えば外部講師を呼ぶとかという内容であれば、それができてなければ当然必要かもしれませんけど、今の段階ではうちのほうでは内容は確認していて、それが執行されていますので、決算を確認する必要はないというふうに判断しております。

 

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厚生労働省の実施要綱には、サポート会員は示されたカリキュラムと時間を満たした研修を修了して、サポート会員として活動ができることになっています。

研修時間は24時間が示されています。しかし、本市の研修は10時間です。愛西市や瑞穂市は24時間で全ての研修を受けることが必須条件となっていますが、本市は病児を預からないということで24時間を必須とせず、なるべくサポート会員となる人のハードルを下げるために、24時間の内容を10時間にぎゅっと凝縮して実施しているというふうに伺いました。

 そうであるならば、せめて10時間を必須にするべきではないかと考えますが、8つのカリキュラム全てを受講することが必須条件ではなく、最低何こまとかの条件もなく、非常に各務原市は緩いかなというふうに感じました。もしお子さんをお預かりして何かあったときに、問題にならないのかと心配になりました。

 

古川質問 2点目

サポート会員が研修を欠席した場合は、レポートを提出するなどして10時間のカリキュラムを全て受講した上でお子さんを預かるべきではないか。トラブルがあったときに問題とならないか。

 

健康福祉部参与答弁

本市ではサポート会員への講習として、救急救命講習や子どもの発達と基礎知識など10時間のカリキュラムを実施しておりますが、中には欠席される方もいらっしゃいます。現在、トラブルは発生しておりませんが、お子さんを安全に預かっていただくためには重要な科目となっておりますので、サポート会員となる方には必ず10時間のカリキュラムを受講していただけるよう努めてまいります。

 

古川再質問

研修の内容は、これから10時間を必須とする言われましたが、これまで、国の要綱にはAEDとか事故防止に関する講習は必ず実施となっていましたが、これは実施できていたのか。

 

健康福祉部参与答弁

AEDの研修についてなんですが、おおむねできているとは思いますが、中には既に受けた後、ちょっと期限が切れてしまっている方もお見えにはなると思いますので、それも含めて今後必ず受けていただくような体制を取っていくというふうに答弁させていただいております。

 

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各務原市のファミサポ事業の要綱には、軽度な病気の子どもの世話と書いてありますが、実際に本市は病児の場合は、東海中央病院敷地内の病児・病後児保育「こあら」を紹介して、体調の悪いお子さんのお預かりはしていないです。

しかし、コロナ禍、2020年7月に社協から会員の皆さんに出した案内には、これまでファミサポでは軽度な病気の子どもの世話をすることが対象となっていましたが、病児・病後児サービスをお断りし、利用できないという内容の案内を出しています。これは、コロナ禍だったからだと思うんですけれども。でも、それを読むと、そもそも各務原市は病児・病後児をファミサポの対象としていたのかと思える内容ですし、病児が対象であるなら研修24時間が必須となってきますし、対象でないならば要綱を改めるべきと考えます。

 

古川質問3点目

本市のファミサポで病児・病後児は対象なのか、要綱変更の必要性は。

 

健康福祉部参与答弁

本市のファミリー・サポート・センター事業では、病児・病後児は対象としておりませんが、要綱には軽度な病気の子どもの世話をすることがサポート活動の内容として記載されています。

本事業がなるべく利用しやすくなるよう、軽い基礎疾患があるお子さんや鼻水が少し出ているだけのお子さんなど、医師の診断が必要のない軽度な病気のお子さんの預かりを想定しています。

しかし、病気の見極めが困難であったことや新型コロナウイルス感染症の流行により、現在は預かりの対象外としているところです。そのため、今後は事業の見直しを行い、要綱等の修正を行ってまいります。

 

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子育て支援の中でも産前・産後の継続ケアというのが、今、大変注目、重要視されています。

ファミサポの中には産後お助け隊という事業があります。

これはとてもいい事業だと思うんですけれども、生後3か月までの乳児のいる家庭の育児支援や家事支援が受けられます。生後4か月のお子さんがいる場合でも、ファミサポの対象とはなるんですけれども、家事支援は含まれていないのでサービスの内容に違いが出てきます。しかし、生後4か月以降でも継続ケアが必要な方がおり、実際に令和2年度には1名の方が31回、4か月以降でも産後お助け隊のサービスを利用しています。

 産後お助け隊が生後3か月までという利用制限を延長してはどうか、また産後お助け隊の案内を見ると、4か月以降はファミサポが利用できないと誤解を招かないかなと危惧しました。

生後4か月以降の方でも産後お助け隊の支援を受けた方が、さっき紹介した方が1名いるわけですけれども、どういう場合が対象となるのか、そこも分かりにくいので、この辺りの条件を分かりやすく整理して表記できるとよいかなと思います。

 瑞穂市などはホームページで、ファミサポは公的なベビーシッターと思ってもらえばいいというふうに市民に伝えていたりとか、いろんな要因はあると思いますけれども、人口増加とか、子どもの人口も増えていますので、使いやすくするといいかなと思います。

 

古川質問 4点目

産後お助け隊はなぜ3か月までなのか、今後、利用対象者の変更を検討してはどうか。

 

健康福祉部参与答弁

産後お助け隊は、産後の安静が必要な時期に育児や家事の援助を行い、母親の負担を軽減する事業です。そのため、産後休暇がおよそ2か月間と定められていることや保育所は生後2か月過ぎから預けられることを勘案し、1か月間余裕を持たせて対象を3か月と定めております。

 なお、産後の日立ちが悪い場合には、3か月を過ぎても御利用いただくなど柔軟な対応をしておりますので、チラシやウェブサイトの表現を改め、丁寧に周知してまいります。

 

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実施要綱には妊産婦も対象となっており、サポート内容にも妊産婦や乳幼児の世話と書いてあります。しかし、一番よく手にして見るファミサポの案内チラシには、利用会員の条件として、各務原市内にお住まいで、おおむね小学3年生までのお子さんがいる方が対象と書いてあります。子どものいる家庭が対象というふうに読み取れます。実際に妊産婦、産前の利用は過去5年間ゼロです。

 

 

古川質問 5点目

妊産婦もファミサポの対象となっているため、利用会員の条件を誤解のないよう表記する考えについて。

 

健康福祉部参与答弁

本事業のチラシや御案内については妊産婦の方が対象であることを明記しておりませんので、今後はチラシなどの修正を行い、周知に努めてまいります。

 

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ファミサポの事業目的には、会員を対象とする交流会の開催や広報活動があります。愛西市も、瑞穂市も、ファミサポだよりというのを出しています。とても分かりやすくて、ファミサポの内容というのはこういうことなんだというのが伝わりやすい工夫もされていて、提供会員の集いなども開催されており、そうした情報も載っています。

 

古川質問 6点目

センター事業として会員を対象とした交流会開催、ファミサポだより等広報紙の発行をしてはどうか。

 

健康福祉部参与答弁

会員を対象とした交流会については、新型コロナウイルス感染症の流行により中止しておりましたが、今後再開してまいります。

 また、ファミサポだよりなど広報紙の発行については、現在、社会福祉協議会と協議し、発行に向けて準備をしております。さらに、市のSNSを利用して事業のPRをするなど、周知に努めてまいります。

 

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現在、新総合体育館・総合運動防災公園については民間活力導入が検討されています。

その議論の中では、多くの民間事業者が事業に参画の意思を持つことで、競争原理が働くことがメリットとして上げられています。本市はファミサポをずっと社協が受託しているわけですけれども、社協がいいとか悪いとかではなく、競争原理が働かないことが問題ではないかと考えます。

 愛西市も、瑞穂市も、子育て支援を専門にして活動しているNPO法人が受託先となり、見事にノウハウを活用し、講座も広報もサービスも充実をし、結果、会員増につながっています。そうした団体と競争することが社協にとっても刺激となるはずです。

 

古川質問 7点目

民間事業者との競争原理が働くよう、複数から受託先を決める考えは。

 

健康福祉部参与答弁

事業の受託者を広く募集することで競争の原理が働き、サービスの拡大につながるものであると考えていますが、事業者の変更は、新しく事業を受託する事業者が健全に運営していけるかどうかの見極めや社会福祉協議会が今まで構築した会員情報をどのように引き継いでいくかなど、解決すべき課題があります。

 しかしながら、県内には子育て支援を専門に活動しているNPO法人に委託をし、民間事業者のノウハウを活用して運営している自治体もありますので、他市の好事例を参考に、よりよい運営につながるよう検討してまいります。

 

古川意見

前向きに改善していただける御答弁をいただきました。

とてもよい仕組みの事業なので、どんどん先進事例を取り入れていただいて会員を増やしていっていただきたいと思います。