6月議会が終わりました。

 

ここ数日は 最終日の討論原稿とにらめっこ。

採決をするにあたっての判断は、迷うこともあります。

考えて、考えて、杉山議員と話し合って

それでも揺れて、どうしようと考えます。

 

決断するには覚悟が必要です。

 

本日 最終日 追加上程されました。

新特別支援学校建設 工事請負契約締結

考え抜いた結果 反対しました。

 

 

各務原市新特別支援学校建設の業者の入札が行われました。

いよいよ、建設工事がはじまるにあたり、

本当に、この規模の特別支援学校建設を実施してよいのか?

改めて考え 大変悩みましたが

議第52号 53号 54号 各務原市新特別支援学校建設 工事請負契約の締結に対し、市民派・チームみらいを代表し、反対の立場で討論致します。

 

各務原市は平成18年 岐阜県の子どもかがやきプラン策定時、当時としては先進的な発想でインクルーシブな判断をし あえて特別支援学校を作らず 小・中学校は特別支援学級や通級で対応していく方針を選択しました。

その後 保護者の皆さんの声で特別支援学校高等部ができ、平成17年にまちの中心である市民公園 学びの森に隣接する現在の高等部の新校舎となりました。

そうした歴史的背景がある中、時代の流れと共に、とりわけ重度障がいや病弱の方からの市内の特別支援学校を望む声の高まりを理由に、市立の特別支援学校建設が決定し 令和7年度開校に向けて動きだしました。

 

しかし 本市が当初からこだわってきたインクルーシブ教育について十分な議論がないまま、ハード面が先行で事業が進んでいくことに違和感がありましたので 特別支援学校建設を機に 特別支援学級も含め インクルーシブ教育 とはなにかを まち全体で考える機会にすることを 当初から訴えてきました。

しかし、市民を巻き込んだソフト面の議論には 一向に向かわず、私のところには 支援学級に通う親子からの相談が後を絶たない現実があります。 

特別な支援を必要とする児童生徒が増えている中、特別支援教育の理解を深めるための 教育現場全体の意識改革が必須であることも 申し上げてきました。

 

この規模での特別支援学校建設に疑問を抱きながらも 建設が止められないのであれば、せめてよい学校となるようにと、市費で専門のアドバイザーを雇う事や、特別支援教育の専門の課をつくること、また地元の学校と特別支援学校の両方に籍を置く二重学籍など 様々な提案をしてきましたが 現状の体制の強化に留まる答弁ばかりで 各務原市ならではの特別支援学校を目指す 本気度は伝わらず 教育現場の現状が変わる希望が抱けませんでした。

 

そんな折、国連からも日本の障がい児を分離した特別支援教育は問題と勧告をうけたり、文科省も小・中・高と特別支援学校を一体化した『共生教育推進学校(仮称)』として一体化を可能とする制度設計を念頭に置いた 障がいの有無に関わらず一緒に学ぶインクルーシブ教育を進める一体運営の検討を始めるなど 特別支援教育を取り巻く考え方に変化が生まれています。

そんな中 250人という大規模な特別支援学校を市立で作ることは 時代の流れに逆行しているのではないかと 考えるようになりました。

 

現在 特別支援学校 跡地等利用の検討委員会が開催されています。

5月17日の傍聴で 当事者の家族の言葉に考えさせられました。卒業後働く受け皿は少なく、我が子のやりたい就労の型はない。そのような本音を伝えつつも 現在の環境に感謝し「就労支援施設に行かせていただいている」と発言され 私は 申し訳ない気持ちになりました。 

働く受け皿がなく 民間の理解がない理由は 子どもの頃から

共に学んだり 共に過ごす日常がないまま 社会に出る仕組みだからです。

 

インクルーシブは絵に描いた餅だと感じました。

 

広報の表紙になっていた、お子さんが市外の別々の特別支援学校に通っているお母さんとも、直接たくさんのお話をしましたが 

結局 一番懸念されていることは やはり 卒業後の未来と感じました。

 

特別支援学校があることは 一般教育制度からの排除ではなく、障がいのある人の平等を促進するための選択肢の1つ、そして通常学校の特別支援学級でも通常学級でも、合理的配慮の下、本人が希望する場所で教育を受けることが保障されることも選択肢の1つです。

そのためには 大規模な特別支援学校建設ではなく 多様な学びの場の環境整備 選択肢の保障が大切です。

 

当初から現在の特別支援学校高等部を残して欲しいという要望がありましたが 小中と地元の特別支援学級に通っていた生徒の進路として 現在の高等部を 高等特別支援学校として残す考えは 軽度障がい者の進路の選択肢が増え 素晴らしい立地条件の現在の校舎も生かされ 新特別支援学校の規模も縮小できます。

また 現在の高等部に重度障がいのある方も受入れ可能な整備を整え、重度障がいの方も現在の高等部、または新しくできる特別支援学校、または市外の学校と選択肢が広がります。 

義務教育卒業後の進路は どんな障がいの方も 自由に選択できる環境を整えることが大切と考えます。

 

教育現場全体に特別な支援を必要とする児童生徒が増えている中で、特別支援教育を担う先生の専門的な知識が不足しているという課題もあり、人材確保も不安です。開校後の維持管理費も明らかになっておらず、建築資材高騰によって契約変更もありうるし、金額の上限は定められていないとのことでしたが、財政への影響も含め心配です。

障がい者とともに生活することが 普通である社会を目指すなら、障がい者のいない学級は普通学級とは言えません。 

幼少の頃から障がいのある方と触れ合う機会を大切にしたインクルーシブ教育の推進を柱に 各務原市ならではの特別支援学校となるためにも 現在の高等部を残し 大規模な特別支援学校建設には反対を致します。