去る9月11日は、講師に安藤智子氏(筑波大学大学院人間総合科学学術院教授)による、かるがも・ねっと子育て応援講演会「安定したアタッチメントを育む子育てとその支援」オンラインでの開催でした。拝聴したものの、基礎知識がなかったため、消化不良にて終了。

もっと初心者向けのもので勉強しなおそう!と探したら、困ったときのお助け雑誌「母の友」2019年5月号にありました。

特集「子育てで大事?愛着・アタッチメントってなに?」の中で、冒頭に遠藤利彦先生(東京大学大学院教育学研究科教授)による『アタッチメント入門』の記事がありました。

そもそも、「アタッチメント」とは、発達心理学上の用語だそうで、日本語訳だと「愛着」となりますが、私たちが普段使っている「愛着」の意味とはちょっと違います。

イギリスの児童精神科医ジョン・ボウルビィが、1950年代から提唱した考え方で、アタッチメント=くっつく、すなわち、子どもと育てる人との間にある特別なつながり、くっつきの関係(アタッチメント関係)があることが、その子の生涯に大きな影響を与える、という考え方。

アタッチメント関係は、物理的な体のくっつきのみならず、心のくっつきをも指します。子どもが行う自発的な活動(心理学においては「探索」)において、「助けて」という合図を出した時、大人が登場して助けてあげる。崩れた気持ちを大人に直してもらう「感情の立て直し」の経験を経て、子どもは大人を「自分にとっての安全基地」ととらえるようになります。その「安全基地」を頼りに、子どもはさらに世界を広げていくことができます。

安藤先生は「この図に尽きる!」とおっしゃっていました。

※「安心感の輪」引用文献:2000 Cooper,Hoffman、Marvin&Powell(北川・安藤・岩本訳、2013)

https://www.circleofsecurityinternational.com/wp-content/uploads/Circle-of-Security-Japanese.pdf

  (「安心感の輪」著作フリーで閲覧・引用できるようになっています)

 

アタッチメントは、大人が過剰に働きかけるのではなく、安心感の輪のうち、安心の基地にいるのか、安全な避難場所にいるのかを見極め、子どもが困ったときに、その求めにすばやく応じることが重要だと言います。

 

さらに、遠藤氏は、近年のアタッチメント研究では大人が果たすもう一つの大事な役割も注目されていると言います。

大人が言葉にならない子どもの気持ちに対し、ぴったりの言葉を「ラベリング」することにより、子どもは自分の心を理解整理し、表情や言葉を用いて「共感する」ということを学んでいきます。これが「感情の映し出し」。

 

幼いころの「感情の立て直し」と「感情の映し出し」を通して、子どもは時に助けてもらい、時に助けてあげるという、人間にとって重要なことを学んでいきます。アタッチメントの基本は「人は一人では生きてはいけない。だから困ったときには助けを求めよう。そして、お互い助け合って生きていこう」という、当たり前のことなんだそうです。

アタッチメント関係は生涯続きます。親から友達へ、そしてパートナー、配偶者、という具合に、人間は絶えず助けてくれる人を探しながら生きていきます。その人を探す時、「相手に依存し過ぎない、相手の気持ちもわかることができる」という自尊感情や共感力が大事になってくるそうです。

安定した愛着が自他への信頼感へとつながり、やがて社会情緒的能力を身に着けていくこととなります。

 

母の友の遠藤先生のページ、安藤先生の講演内容をちゃんぽんでまとめてみました。難しい。

 

参考図書

母の友はいつ見てもよいですね。

 

分かりやすく言えば絵本「こすずめのぼうけん」かなあ、と思いました。「冒険に行ってくるよ」「助けてね」の繰り返しで、たくましさ=レジリエンスが育っていくのだなあ、と。

 

つい自分自身のことを考えてしまいます。自分の自尊感情が低いこと、レジリエンスが低い原因ってここらへんにあるのかなあ、大切に育てられたと思うんだけど。