イデオン視聴メモ(36話~39話) | 通行人A的思考

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ガンダム・富野監督の作品のストーリーや人物について、感想や考察をしていきます。
根拠のある考察ではなく、私個人が作品を視聴して感じた事をメモとして記事に残しているとお考え下さい。

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以前、ツイッターで呟いたイデオン視聴メモのまとめ。(36話~39話)

TV版の視聴メモは今回で終了。次回は発動篇のメモをまとめる予定。

イデオン36話

イデの話をしながら、シェリルの肩に手を回すギジェと、カララの目を盗んでキスするシェリル。ベスとカララもだけど、富野監督の描く男女は健全だけど生々しい。男女の惹かれ合う気持ちを動作や眼差しで表現する事が多く、好きという言葉を安易に使わないからかな。

 

 「ラーンラランランラーン」とか妙に陽気な鼻唄を歌いながら登場するガルババ。新婚でうかれているのか…。

 

爆薬を仕掛け無人になったソロシップとイデオンを見送る、ソロシップのクルー達。 悲壮感漂うBGMが、クルー達の心に残る迷いを表現している様にも思える。 理性では自分達の管理を越えていると分かっていても、本能的には住み慣れた家を失う様な寂しさもあるのでは。

 

 ここにきて、ソロシップクルーVSバッフ・クランVS地球連合(スカラベリィ)のソロシップ争奪戦という三つ巴に、状況が変わってくる。 前回はバッフ・クランと地球連合艦隊が手を組んでいたのに、今度は両者は敵同士。こういう戦局の慌ただしい変化が面白い。

 

爆風で飛ばされたラパパを、指先でキャッチするコスモ。 ルウを泣かせるな!と怒鳴っていた序盤のコスモと比較すると、大分余裕が生まれた様に感じる。

 

誰一人嫌がる事なく、もうすぐ爆発するソロシップに戻るクルー達。 イデが発現すれば皆滅びるからって事はあるだろうけど、それでも恐怖心が勝って錯乱したり逃げ出したりする人がいてもおかしくはない状況。クルー全体の成長なのかも。

 

さっきまで敵対していた地球の工作員とソロシップのクルー達が、今度は協力して(単に目的が重なっただけだけど)時限爆弾を解除するシーン。刻一刻と状況が変わるこの展開…やっぱり面白い!!!


「ギジェ、止めてぇ!」
「ぇええ!?」

この時、カウント残り7秒。これは流石に無茶ぶりですよカーシャさん…!ギジェの声裏返ってますもん…!

 

時限爆弾の解除が間に合わなかったシーン。真っ黒な画面に白線で描かれたソロシップクルーが次々に映される。 アーシュラ達も白黒なのに、ルウだけはカラー。 停止して見たら(止めるの大変だった)、ルウは笑ってるっぽい…? この描写の意味が気になる。

 

ソロシップの時限爆弾の爆発がバリアで封じ込められた…。確かにここまで来ると、「悪魔の力」と言えるかも。 人間の意思では壊すことすら出来ないのだから、コントロールが出来ないという事は明確。

 

ソロシップのメンバーは人類の為に善かれと思ってソロシップを破棄しようとしたんだろうけど、イデにとってこの行動はエゴと見なされるんじゃないか。自分を守りたいイデとしては、ソロシップを破棄しようとする事は存在を認めないと示す行為で、攻撃と取られる気がする。

 

「もう遅い、お前達の帰る所はなくなる」

今回は、「帰る場所」がテーマだった様に思える。 特に、宇宙における母艦の存在。帰る場所そのものであるソロシップを捨てようとするクルー達が、結局はソロシップを帰る場所にするしかないと戸惑いつつも悟る話。

 

イデオンガンでバッフ・クランの艦隊が撃沈される場面で、光の中をミヤが笑顔で踊り続けていたのが印象的だった。

 

今回、イデがさまざまな巡り合わせでコスモ達をソロシップに呼び戻したのは、「(自分の身を守る為に)一人にしないで」って主張?赤ちゃんが「お母さん置いていかないで」と、本能的に泣いたり後追いするような感じかな。

イデオン37話

予告の時点で盛大にネタバレされていたけど、今までロッタと共に家事と育児を頑張っていたリンが…ということで、観る前から気が重い。 個人的に、家事苦手なのでこの二人のことは心から尊敬しています。

 

「私はね、純潔を守りたいのよ。地球人としてね」

女扱いされる事を嫌っているカーシャからすると、ギジェと出会ってからのシェリルの変化は、汚らわしいものに思えるのかも。

 

アジアンに、お前達が来たせいで人口が10万になったと言われるソロシップ。 ギジェは、自分がやった事の結果をここで身をもって知る事になるのか。

 

非戦闘員の殆どが女性と子供で、シェリルやカララまで含まれている中、カーシャはそこにはいない。 「自分を守る事を人任せにするのは嫌」みたいな事を言っていたけど、そういう台詞がこんな先の話でいきてくるとは…!

 

「私にはアジアン人10万を守る責任がある」

この物語はコスモ達の視点で観ることが多いからコモドアの言動が卑怯に思えるけど、コモドアもコモドアでアジアンの未来を考えて、善かれと思って取っている行動なんだよね…。

 

今までソロシップの家事と育児を頑張ってきたリンが、人質の見せしめの様な形で退場。 シェリルとリンって、あんまり姉妹らしいやり取りが無かったけど、かえってそれが姉妹らしいかも。 シェリルが何度も名前を呼ぶシーンから、姉としての愛情を感じる。

↑兄弟とか家族って、普段は適当な扱いというか、絶対に裏切ることができない血の関係があるからこそ、安心して蔑ろにしてしまう存在のような気がする。そういう意味で、シェリルとリンは現実的な兄弟・姉妹らしいなと。(2016年10月2日)

 

ベスの銃を奪って、「畜生!畜生!」と連射するシェリル。古いアニメだからという事もあるかもしれないけど、普段上品で理性的なしゃべり方をしていたシェリルなので、印象的。

 

「リンの仇だっ!!」とイデオンガンを発射するコスモ。 カミューラの時のコスモは、幼児対抗していて、子供が母親を取られた怒りの様なものだと私は考えていたけど、今回は完全に私情で、逃げていく敵に撃ってしまった。 これは、イデにとっては善ではないのでは…?

 

リンの亡骸を抱えて歩くソロシップのクルー。 シェリルの泣き声と共に映し出される、廃墟で暮らしているアジアン人と思われる老婆?が印象的だった。

 

着陸するソロシップとリンを抱えるベスのカットの直前に、ロッタに手を繋がれたルウが何か言いながら手を振っている姿が一瞬だけ映っている。ソロシップに手を振っているのか、リンに手を振っているのか…。「リンとはさよならよ」とか、ロッタに言われたのかも。

 

カララとハルルの父である、ドバの登場。前にハルルとも話していたけど、今回からいよいよ本格的に物語に絡んでくるんだろうか。ところで、ガンドロワとは…?

イデオン38話

「どのみち、私たちは宇宙の孤児よ!」

地球を捨て(捨てられ)、何処にも受け入れてもらえず、さ迷い続けるソロシップ。カーシャの開き直った様なこの台詞は、かえって心強い。

 

それにしても、冒頭から戦闘。終盤どころか、クライマックスか…としみじみしてしまう。

 

バッフ・クランに、カミオン隊みたいなおじいちゃんばかりの隊なんてあったのか…! 完全にキャラ萌えですが、この人達がこれから死んでいくのかと思うと切ない。

↑本当に個人の好みですが、老人のキャラクターがどんな性格や人物であれ、何か好き。(2016年10月2日)

 

「シェリル…いるんだろ?」

どのキャラクターにも律儀に敬称をつけ続けたギジェが呼び捨てにしている所に、二人の関係性が表れている気がする。

 

お酒と思われる飲み物を飲みながら話すシェリルとギジェ。台詞や動作から大人の男女の雰囲気が漂ってるけど、シェリル10代なんだよね…。 リンの事をかなりひきずっているけど、これが正常な反応だと思う。

↑現実世界では、あくまでもお酒は20歳になってからなので、10代での飲酒が正常な反応という意味ではないです。大切な人をなくしてしまったショックのあまりに、自暴自棄の様になるのは正常な反応という意味。

 

ベスの耳掻きをするカララ。二人の関係を表す言動は所々にあったけど、公にそれらしい事をしているシーンは少なかったので、和む。カーシャに早く休めと二人で言うところなんかがまた(笑)

 

カーシャに布団をかけるコスモ。 キッチンが登場してから、コスモを気にする様なカーシャの描写は描かれていたけど、カーシャを女の子と見て接するコスモは初めて描かれたのかも。

 

「こういう事は不得手で」 「そういうの…好きよ、ギジェ」

「好きよギジェ」ではなく、あくまでも不馴れなやり取りをしようとするギジェの言動に対しての「好き」なんだよな。大人っぽくて洒落たやり取り。 シェリルのこと朴念仁って言ったの誰だ?(笑)

 

「教えて」とすがるシェリルに、「イデの試しなのではないか」と言うギジェ。 あー、本当に苦手っぽい。今はイデの話題はしない方がきっと良かった。 でも、大丈夫とか適当な気休めを言われるのは、今のシェリルにとってもっと辛いだろうから、ギジェで良かったんだろうな。

 

ダラムの素顔を見られなかった事を悔いと言うハルル。 ベスとカララ、ギジェとシェリル、コスモとカーシャ、ハルルとダラム。 全部「男女」なのに、どの関係も異なる距離感や状況なのが面白い。

 

Cメカを助けて、ベトベト葉っぱで身動きが取れなくなるBメカ。敵の集中砲火を浴びた時、ギジェにビームが当たったっぽい…?お腹の辺り。ソロシップで一番最後までギジェを認めようとしなかったカーシャを助けてギジェが、ってところがポイントだと思う。

 

イデオンが勝手にドッキングする時、コスモ&デクとカーシャの反応は映されているのに、ギジェの反応は映されていない。 その前に映ったカットも、光に包まれて無表情なギジェだったので、何だか不吉な沈黙。

 

付近の敵だけでなく、星の外にいる敵まで巻き込むイデの光。そこから咄嗟の判断で脱出したハルルは、イデの意思に反することに(この時点では)成功したと言えそう。

 

1話から、敵として、ライバルとして、味方として、男性キャラとして、物語に深く関わってきたギジェの退場。お疲れ様でした。 目を開けたまま亡くなったという事は、息絶える最期の瞬間までイデの光を見ていたという事かな…。

 

シェリルをギジェに会わせないようにするカーシャ達。「ひどい」という言葉と、胸から上しか映されない事、さっき腹部に被弾していたっぽいカットがあった事から、もしかしてギジェ、お腹か下半身が…。残酷な映像を出さないでそれを想像させる演出が凄い。

↑カーシャ達がシェリルを止めたのは、単純に「好きな人の遺体を見るのは辛いだろうから」という配慮だったのかもしれないけど、自分としては、「あそこまで必死に止めないのでは?」と感じた。「最期のお別れくらい心行くまでさせてあげよう」という考え方をする人もいるかもしれないし。みんながあそこまで必死にシェリルを止めたことと、「ひどい」という言葉から、やはりシェリルには見せられない状態だったんだと思う。(2016年10月2日)


「何で私の人はみんな死んじゃうのよ」

前回のリンに引き続き、ギジェまで失ったシェリル。 イデオンを観る前から、「シェリルは怖い」という意見をいろんな所で耳にしていたけど、これは逆に、怖い人にならないでいられる方がどうかしている気もする。

 

 予告で「最終回 コスモスに君と」って文字を見た瞬間、涙腺崩壊…。

イデオン39話

 「まさか…いくら何でも早すぎるわ」

あ、やっぱりもうそういう事ですよね…?

 

急に制御がきかなくなったソロシップ。序盤からずっと、ルウの防衛本能に共感しているという見解だったけど、ベスと対話をした辺りから、ルウとの共感よりも自分の意思を優先させる様になっている様に見える。

 

笑いながら怪しい足取りで登場するシェリル。 リンとギジェの事もあるし、おかしくなっても仕方ないというか、寧ろそれが普通というか。

 

カララとドバの会話。予告で言われていた様に、これがイデの与えた最後のチャンス。

↑視聴時は、「カララとドバが分かりあえるか」が最後のチャンスと思っていたけど、今考えると、「ドバがカララとベスの間に出来た子(=ドバにとって異星人の血が混ざった子)の存在を認められるか?」の方がイデにとっては重要だったような気もする。


「バッフ・クラン語をよく覚えたな」

いつの間にか、バッフ・クラン語を無意識のうちに話していたジョリバ。というより、イデが両者にとって分かる言語に翻訳している…?いつからこのイデの力は使われていたんだろう。そう言えば、ギジェは普通に話せていたな…。

 

 「私のお腹の中に新しい命が育っているのです」

とうとう明かされたカララの妊娠。 この時、隣にいるのがベスではなくジョリバなのが私的にツボ。 ドバは、ジョリバの子だと思っていそう…。

 

イデの力を弱めるコントロールは出来ないが、強めるコントロールなら出来ると話すカララ。 文明とか権力とか、人間が一度手にしたものを手放せないように、イデも一度手に入れた力は手放せないのかもしれない。

 

バッフ・クラン軍の宇宙服を着るカララとジョリバ。 少し運命が違えば、この格好をしたカララが敵としてソロシップの前に立ちはだかる…そんな場面があったのかも。

 

イデオンでカララ達の飛行機を捕まえようとするも、直前で撃ち抜かれるシーン。

「うわぁぁっ!何故殺す!?何故戦う!?何故そっとしておけないんだ!?」

このコスモの台詞が、イデの主張そのものだと思った。

 

最初からソロシップには戦う意思はないから、「バッフ・クランの平和の為にソロシップとイデオンを殲滅したい」というドバの大義は、全体的な戦局から見ると完全に空回りしている。
でも、今のドバにとってバッフ・クランの脅威となるイデオンと戦う事は正義なんだよね…。

 

バッフ・クランとソロシップの、宇宙の果てまで続く追いかけっこが始まるのか…!?と思った瞬間、ナレーションが入ってイデが発現。ここからエンディングが終わるまで、メモも忘れてただ泣きながら観ていた。

 

結局、イデは最初は自分を攻撃する相手に対する「怖い」という感情を主張する手段とした、様々な力を相手に見せていた。(ルウに共感)
その後、更に様々な感情を感じる様になり、ドウモウの卵やカララのお腹の中にいる子供まで殺そうとする人類に呆れて発動したのかな。

 

かなり私的な見解ですが。イデは、ルウやカララの子供を守る意思があったから人類に呆れたのではない。 純粋な防衛本能だけしか持っていない存在すら殺そうとする人類は、いつか我が身をも滅ぼそうとすると判断したから、「自分の存在を守る為に」発現した気がする。

 

コスモ達は善き存在であろうとしたけど、それも結局はイデにとってエゴでしかなかったのかも。イデの発現で宇宙がどうなったか、「かもしれない」という曖昧なナレーターで説明されたので、コスモ達がイデにとって正しかったかは、このエンディングだと視聴者の想像次第…?

 

今までソロシップが旅してきた星と、猿人やドウモウ達が映っていたけど(使い回し画)、あれは人類のみが滅びたことを示唆しているのかと感じた。ラストで宇宙を裸のルウが飛んで行き、もう一人の赤ちゃんが映し出されたけど、あれがカララの子供で、イデに最も近い存在?

 

 

イデオン1話~39話視聴期間:2015年11月26日~12月18日