ワタシは、前記事で今井通子サンの本を酷評した。誹謗中傷ではない。あまりの出来の悪さに驚いたのだ。
本の「なかがき」によれば、この本は、締切2ヶ月の飛び込み仕事だったらしい。しかも、100枚書いたところで章立てが送られて来たという。
通子サンは困ったが、編集者がそのまま書いてくれというので、書き続けたとか。
なるほどね。構成の混乱は、そのせいか。
ならばとて。
彼女の著書をもう一冊読んでみることにした。
「ダンプ&通子の夫婦でゆったり登山術」は、夫君であるところのダンプこと高橋和之サンとの共著である。
キャッチフレーズは、《日本最強の登山家夫婦による、必要最低限の登山術》である。面白そうではないか。
目次を見る。
最初に2人の登山談義(これがオモチロイ)があり、ダンプさんは152ページ分、通子サンは74ページ分書いている。
ダンプさんは、装備の選び方や山小屋でのマナーについて、初心者にもわかるように、懇切丁寧に解説している。楽しく安全に登るためのノウハウや苦言は、さすがである。
一方、通子サンの書いていることは・・・
やっぱり支離滅裂であった。ちょっとだけ引用してみるね。
残念ながら世界的に見て、日本は、登山列車などの山岳交通機関が発達している国とはいえないでしょう。
そのことが、自然環境の保全にはよいことのように思う人々もいるようです。山岳交通機関の代わりに、山中深く車道が入っていることと、車で行けるその山中へ人々が集中し、全員が歩いて上り下りするためにその地域の持つ自然のキャパシティを超えてしまいます。回復しきれない山々が多くなってしまうのです。
一読して、何が言いたいのか、よくわからなかった。自然環境の保全が大事だと言いたいんだろうけどね。
通子サンの文章には、環境保護主義者的発想が散見される。残念ながら、それが、いかにも薄っぺらなのである。実体験は豊富なんだから、もうちょっと勉強してから書いて欲しかったな。
もうひとつ。
酷い誤植があった。「老化現象を考える」の項である。
身体老化現象の中でも膝間接の障害はかなり多く、例えば、過去に足首や膝の捻挫をしたり、下腿、大腿部の骨折などの経歴の持ち主の場合、それらの後遺症としてその部位をかばいがちなため、早めに間接軟骨が擦り減ったり、また半月板に損傷が生じたりすることがあります。
センテンスが長すぎるのはともかくとして、医者たる者、関節を間接と書いてはいけないではないか。
通子サンは、ゲラチェックを、していないんだろうね。
几帳面なダンプさんと大雑把な通子サンは、お似合いの夫婦なのだろう。結構なことである。