かつてトリオ・ザ・パンチという漫才トリオがあり、リーダーの内藤陳サンの得意な台詞は「おら、ハードボイルドだど」であった。
実は、内藤陳サンは、稀代の読書家であり、内外のミステリーやハードボイルドに関する造詣が深かったのであるが、キミタチは知るまい。
それはおいといて、と。
日本のハードボイルドの草分けと言えば、何と言っても大藪春彦サンである。若い頃、週刊誌に連載された作品を読んだ記憶がある。ボロニアソーセージ1キロをポットのコーヒーで胃袋に流し込んだりする、やたらタフな主人公が、大暴れする話であった。
久し振りに読んでみようと思い、図書館でこんな本を借りた。よく見たら編者に北上次郎サンが入っているではないか。ふむ。
内容は、以下の通り。
いずれの作品も、暴力が暴力を呼び、この先どうなることかと思った所で、唐突に終わってしまう。銃器の説明は、やたら詳しいけどね。
巻末に詳しい解説がある。それによれば、これをプロットの崩壊と見るのは、近視眼的な誤りだというのだが・・・
組織に対する一匹狼の挑戦が、殺戮のための殺戮になっていくというストーリーは、はっきり言ってワンパターンである。
思うに。
大藪春彦サンは、己の内なる鬱屈を晴らすために、残虐なシーンを書き続けたのだろう。
銃器への異常な執着は、フロイト流に解釈すれば、**コンプレックスに他ならない。
結論:病んでいる。