大学生の時に書いた「救いのない童話」をもうひとつ。
向日葵と甲虫
昔々、あるところに、とても美しい向日葵と、とても醜い甲虫が、住んでいました。
甲虫は、密かに向日葵に憧れていましたが、向日葵は、甲虫のことなど眼中になく、一日中お日様を追っ掛けておりました。
ある日のこと、甲虫は思い切って、向日葵に愛を告白しました。
向日葵は、甲虫のことなど、どうでもよかったのですが、異性からの愛の告白が、彼女の自尊心をくすぐったので、花のように微笑みました。
甲虫は、幸せのあまり心臓麻痺を起こして、向日葵の足元にポトリと落ちました。
それを見た向日葵は、「ダメなヒト」と呟き、再びお日様に色目を使うのでありました。
甲虫は、向日葵の肥料になりました。
めでたしめでたし。