カーテンコール | 極楽ブログPart2

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世の中に寝るより楽はなかりけり浮世の馬鹿が起きて働く(「母の教へ給ひし歌」なのです)

「カーテンコール」は、筒井康隆サンの短編集である。

「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」という著者自身の惹句を新聞広告で見て、これは読まなくては、と思った。
で。
図書館で順番待ちして借り出した。




筒井作品は、意表を突く出鱈目な駄洒落やストーリー展開が、真骨頂である。
ところが。
この本に載せられた25篇の作品は、総体ギャグの切れ味がよくないし、ストーリーが、ワンパターン化している。あの筒井ワールドの毒が、薄れているのだ。
その中で、よかったのは、「お咲の人生」かな。
お咲は、幼い頃虚弱だった筒井さんを悪ガキどものイジメから守ってくれた、頑丈一式のお手伝いさんである。
「お咲の人生」には、筒井サンのお咲に対する思いが、淡々と書かれている。結婚したお咲が、不慮の事故で亡くなったと聞いた時、筒井サンは、おんおん泣いた。
筒井サンは、もう無理して出鱈目話を書かなくていい。「お咲の人生」のような思い出話をポツリポツリ語ればいい。
わかりましたか。わかりませんか。