昨日は遅刻。
昨夜のこと。
ムスメが思いつめた表情でスマホに向かっている。
スマホが
スポッ
スポッ
スポッ
と結構な速さで音を出している。
おそらくLINE。
ムスメも難しい表情で
タタタッ
タタッ
タタタタタッ
と返信している。
母はなにも言わず横目で見ながらトラブルのにおいを予感。
やがて。
極まれり。
突然ムスメは空を仰ぎ涙声で、
「もう無理…」
とつぶやき、自室へ逃げて行った。
がっつりトラブルやがな…
小一時間放置。
落ち着いた頃を見計らって、彼女の部屋へ。
ベッドの上で泣きはらした顔を向けた彼女の横に座り、静かに問いかける。
「なにがあったの?」
「言いたくない」
でしょうね。
「言ったほうがラクになることもあるよ」
苦しくて苦しくてどうにもならなくなった時では手遅れなこともあるからさ。
今のうちにどうにもならなくなる前に少し言っといたほうがいいんじゃない?
ママも心配だから。
「でも、自分でなんとかするから」
いま、ムスメは自分自身で殻を脱ごうとしているのかもしれない。
15歳。
いろいろ考える時期だ。
自分のこと。
周りのこと。
将来のこと。
内面も外面も大きく成長するとき。
答えは自分のなかにある。
自分自身に問いかけるとき。
ムスメもそんな時期なのだ。
「わかった。じゃあひとつだけ」
犯罪に巻き込まれてたりはしない?
「それはない。大丈夫」
ならばもうしばらく待とう。
母は見守ることにするよ。
しかし次の朝。
続きます。