(集英社オレンジ文庫)

タイトルの迫力に惹かれ手にした一冊。
異世界転生ならぬ…過去へのタイムリープ転生とでもいうのかな。
この話で一応完結…なのかと思いきやシリーズ6冊迄出ているそうですが、私はこの本だけでいいやという感じ

過去の同族の行いのせいで、貶められて奴婢として扱われている主人公
旦那様の慰み者にされしかも殺されそうになり…というところで、別の『慈悲深い将軍』とやらに殺されて、気がついたらその過去の同族が厭われる原因となった皇帝妃に転生していたという設定

話の結末は、自分たちが虐げられない世の中を作るために、国を乗っ取るという主人公
ただ残念ながら、復讐として過去の自分を酷い目に合わせた旦那様を赤子のうちに殺させようと、何度も繰り返すあたりであまり魅力的な主人公には見えなくなっています
(歴史的な扱いとして、旦那様の奴婢に対する扱いは非常に冷酷というものでもなく、ケガして役だてない親も彼女のおかげ?でひとまずは生きてるし、肉体的にいたぶる趣味があるという訳でもない)
自分が過去転生で人生変わり、相手の親もその自分を敬うような人なんだから、教育をきちんとしろだとか、こうしないと不幸になるとかだけで十分なのでは……とか思ったり

過去転生なので未来に起きることを「予言」して神の使い的な立場をゲットできたのならば、むしろそこで国家を奪うと考えない方が、自分の一族守れるのでは??(勿論主人公が寵愛されるのを好まない敵対する人たちはいるけれど、足場固めに神の使いは有効だし、転覆を狙う一族を落としていく方が国家支配より早そうだし安定しそう)

自分を支えてくれる将軍=過去の自分を殺した相手
ただその相手は職務に忠実だっただけで、取り込んでしまおうと自分の配下にしてしまうのは面白いのですが、色々やりぐちが『悪女』だからかあざとい
それでいて本当はいい人なの!という設定になっているので、どうも感情移入しにくかったです

後宮なのに男が思い切りバンバン出入り自由みたいなところも、疑問
宦官がいない国だとしても、普通に切り捨てまではいかなくとも、捕まえないの?とかなったり
甘々な恋愛要素が控えめな、転生ものということで、需要はあるかもですね