新潮社 表紙や登場人物紹介にあるイラストが、少女漫画チックなのでそういう話かと読み始めたのですが上巻途中までは何がテーマなのかいまいち解らず
(この作者さんは作風が広いので、時代小説でもファンタジーっぽかったりミステリだったり、オカルトだったりとあるので)
ところで普通登場人物に顔イラストがある人物って、重要な人たちなのかなと思うのですが…
読み進めて、あまりそれは当てにならないと判明
上巻を読んだ時点では、実は多重人格的な重いオチが来るのかなと思いきや、ファンタジー路線・正体不明の幽霊に取りつかれたでGO? …のまま終了
下巻開いてびっくり、重要登場人物と思われていた行方不明人物いきなりの死体発見
そしてファンタジーの知らない人間に憑りつかれてた説はやはり消えて、多重人格方面に進んできました。
色々波乱万丈はあるのだけれど、どうも人間関係にあまり思い入れができないのは、主人公が惹かれる理由がいまいちピンと来ないからかも。
軽い同情目線なら判るのですが、好きかと聞かれてうろたえるほどには見えません。
どちらかというと、下巻でいきなり死んでたイトコとか、生きてるイトコとかの方が主人公とのやり取りが恋を予感させる雰囲気
あと読み終わって思うのが、随分陰湿な復讐のわりには、動機がいまいち…?
魂を呼び出すだとか、村を根切(全滅)させるだとか、親子に渡って防ごうと思えば防げるのではというやり取りの後のじわじわした遠隔的いやがらせの割に、その根源がたいしたことないというか…。
ラストもすっきり解決できておらず、怨霊にしたいのか多重人格をうまく治療したという話にしたいのか、伏線らしきものがいっぱいあったのに拍子抜けのラストでした。
宮部先生の歴史ものは、後味悪いものでも面白いのですが、これに関しては後味の悪さのみ残り、ラストもなんだか色々解決していない気がしています。