メディアワークス文庫

いわゆるラノベと呼ばれるシリーズの文庫ですが、読み応えあり
ラノベ系ですと、ファンタジーですという逃げ道をとる方法があるからか、「いやそれこの時代にない」というものや、「その言葉は戦後」みたいなツッコミを入れたくなるものが多々見かけられるのですが、この本はそういった点が気になりませんでした

まず主人公の設定も重い
美形で女と見まごう絵師…はまあありがちですが、幼いころ陰間茶屋に売られていたそれなりの稼ぎ手
その後の描く絵が実際に動いてしまうというのは、ファンタジー的ですが、本格的な江戸舞台に違和感がありませんでした

ただ色事で食べていた主人公が、恋愛関係に鈍いを通り越してるというのがちょっと不思議
いや泥の世界にいたから、そういった部分を麻痺させてるみたいな一文があれば、それも納得できたかな?
二巻のラスト辺りで、陰間から稀代の名女形になった役者が出てきて、どうやら主人公といわくがありげ…(いや絵が動きだしたり陰間だったりで十分いわくありですが)
というところで終了

さて続きはと探してみたのですが、公式でも二巻までしか見つからない
……えええこれで…続きがでなかったのか…本格的過ぎて、ラノベ世代には受けなかったのかなあ
もうちょい装丁を変えて、時代小説系の文庫できちんとやり直したら、主人公の影がある過去も含めて読み手がつくのではともったいないです