徳間書店

深川味物語が副題ですが、深川っぽさはあまり感じなかったような?

文字でっか…行間すかすか……
お話は事実の羅列という感じで、人情ものなのに肝心の情を感じられる部分が少なく、絵本を読んでるような印象
この人小説書いてる人なのかな、何らかの研究家的文献を書いてる人なのかなと、作者来歴を読んだらほとんどが戦関連物で納得
闘い関連は、いろんな事実の羅列が一つの結論につながるまでを楽しむので、この文章で読みやすいと思いますが、人情ものではちょっとというミスマッチに感じます

何よりお話が「勝手に店の常連が この主人公の働く店が一番」とか言い出して、江戸の有名店にケンカを売って味勝負とか…
しかもその争いの原因になった人、店に恩があるとかその店の名に懸けて決して負けられないとかではなく単なる客の一人
自分はノーリスクで主人公にはハイリターンの戦いをやらせて、せめて材料費や料理の手伝いするのかと思えば何もしない

そもそもの発端は、安い材料と高い材料で味の差が出るのは当然
同じ材料で作ったらどうなるとか言い出して、塩だけでお吸い物勝負だったのに、次の旅行では一か月の料理準備
伊勢まで行ったり相手のお店はお寺まで修行に行ったり……
その間のお店の損額を負担するでなく、その旅行の費用も負担するでなく、料理勝負をオレはもっと楽しみたい!とか言い出す味見役もどうよ

あと絶対嗅覚は、すごい能力だと思うけれど、それだけで料理の鉄人にはなれないのでは…
絶対音感持ってるけど、音がわかるだけでピアノ弾けないって人を聞いたことあります
茹で卵・豆腐の温める時間・調味料を入れるタイミングなどは嗅覚だけじゃどうしようもないので、嗅覚プラス精進してる描写がないと、料理が細かく書かれていても、そんなもんかなあと思う程度にしか感じられません

この作者さん、お料理普段してるのかなあ…
塩漬けにしたマツタケを、蒸し焼きにして柚子をかけて醤油をかけて食べるというのも、塩抜きの描写がないので「しょっぱくないの!?」と疑問
しょっぱくないならないで、「塩漬けにしていても、風味が消えてないから醤油があう」みたいな一言で、味を想像させてほしいです

実は隠密だとか、何やら実の親はすごいらしいとほのめかしがいっぱいで終了
この作者さんの場合、普段戦記系を書いているとのことですし、このまま隠密の話をメインにした方が盛り上がりそうです

ちなみにまだ(?)続きは出ていないようです