宝島社

このミス大賞だった前作、「縁見屋の娘」が面白いけどこのミスの面白さとはちょっと違ったなあと思っているところで、似た傾向の二冊目。
今度は前もってこのミスの楽しみではなく、歴史小説として読むぞ~と思い……面白かった!
そしてこれだったらこのミス大賞でも、納得のミステリー的な楽しみも色々。

全編を通しての象徴的アイテムが「切ってはいけない般若刀」
(こっそりお酒を般若湯という言い換えをもじったのかと思ったけれど、それはありませんでした)
何故切ってはいけないのか、これが作品にどう絡むのかと思っていたのですが、うまくラストになるまで色々なアイテムとして利用されています

また「死んだ」と思われていた人物が生きていたり、ふとした縁での知り合いが昔記憶の人物だったりと複雑でありながら、理解しやすい
主人公は…なんのかんのいっても、色々殺してきてるからなあ…というのは、きつい見方になるのかな

そして一番健気な親を殺され、淡い初恋の相手を殺され、次に好きになった人が親の仇で、しかも別に恋人がいて…というおぶんちゃんが可哀そうすぎでした
一番の悪の根源は死なないし

…あれ、爽やかな終わり方の割にはこれ、いい人はみんなひどい目にあって報われてないような…
そして人を殺したり命令したりの人は、これからの未来はあるみたいに前向きだけど、よく考えるとひどいな
それでも面白かったです。