角川春樹事務所

副題が江戸菓子舗昭月堂

表紙が可愛いキュートな色とデザインで、読むまでは(あえて後ろ表紙のあらすじ読まなかったので)時代小説か現代小説かどっちかなと楽しみに読み始めました
武士の家に生まれたんだけど、気づいたら家が焼けて家族全員死んでて、それなりに生活不自由のない尼さんに引き取られたという少女が主人公

主人公は重い設定いくつも持ってるのに…えらく軽い
親戚に見捨てられて、赤の他人に面倒見て貰ってるのに「あれやりたい」「やっぱこっちやりたい」「私の本当にやりたいのはこれ」
……軽いを超えて図々しくないだろうか

主人公は京都で家族がそろっていたころに食べた「最中の月」という餅菓子が食べたいと江戸でも探すけれど見つからず。
吉原で「最中の月」というせんべいを売ってそれが主流になってしまったので、江戸ではうれなかったと判明。
たまたま京都で修行していた人が、最中の月を作っていたけれど売れないからやめると聞いて、
「(丸い餅の上に)右と左に二本ずつ、細長い葉っぱのような線模様。その溝の先に赤い小さな丸が二つ」
でウサギになったと文中で説明しているのは、最初まったく意味わかりませんでした、表紙のイラストを見てこういう事かと判ったんだけど…
丸い部分が目で細長いのが耳というのは、文章だけからではれんそうできずに「うさぎ…?」と首をひねっておりました。

キャラクターはみんないきいきとしているのだけれど、困ったことに良い方向のキャラはあまり印象に残らず
「いやみくさい」「言い訳だらけ」「適当」みたいな言動の方ばかりが記憶に残ってしまうのはもったいない
…なんでだろ

方向性はベストセラーにもなった(他作者さんの本であれですが)「みおつくし料理帖」シリーズに近いのに、なんだかもったいない仕上がりという感じでした。
見かけたら二巻も読んでみたいけれど、探してまでは…という感想です。