638円 学研文庫


 …面白いんだけど、随分不親切な作りな

小説だなぁと思って話を読み終え、作者さん略歴

読んだら、以前この作者さんの別の本を読んだときにも

おなじ感想もってたから、きっとこの作者さんの

シリーズ全般そうなのかな。


 何が不親切かというと、連作モノで

(この本は2作目)主人公の影の仕事…というより

無償でやってるから趣味?の

必殺仕事人的仕置き作業、お話のことあるごとに

「前回の仕事では…」「前の仕置きでは…」とにおわせる

記述が繰り返し入っていて、前作読まなくちゃ

解りにくいですよーという作り。


 2-3行少し説明してくれるだけで、わかりそうな

内容だけに、構成が不親切に感じられ勿体無いです。


 正義感ある江戸っ子の主人公と、

チャキチャキの下町娘っぽい女の子のコンビや、

医者の先生といった人間たちは、結構好み。

 

ただ、、お話の内容…ちょっと勧善懲悪というには

理不尽だなぁ。人の良い爺さんが30両拾って、それを

届けた先のネコババした同心を、許せねぇとばかりに殺そうとした

主人公にちょっと引いた。


 …別に同心が「爺さんが盗んだ」とか罪押し付けたわけじゃないし

爺さん自身には特に被害蒙ってないのに、それで殺そうと

するか…?

 爺さんを騙すなんて許せねぇちょっと仕返し!ってならともかく

爺さん自身は拾っただけで、しかもちょっとはネコババしようと

気の迷いだけど思ったりしてたし…。

 結局殺さなかったけど、他にも浮気し放題のダンナに特に

何もせず、悋気で女中を殺した妻にだけ殺害と(ダンナは結果として

惨めな目にあってるけど、あくまで結果で想定しての行動じゃない)

…どうも私と正義の基準、違うみたい。


 ノリと悪即殺の展開が爽快で好みという方にはいいかも。

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