1000円 中央公論新社
再読での感想です。 初めて読んだときは気づかなかった
んだけど、後巷説百物語と微妙にリンクしていたのか。
小平次は主役であり、ほとんどの箇所で
登場しているけれど、何を考えているのか分からず
また台詞もほぼ無いという珍しい展開。
生きているのに死んでいるような幽霊男「小平次」
の存在そのものが、生に捕らわれている人間からは
理解できず、それぞれ自滅したり思い悩んだりと
色んな行動をしていく。
ひとつひとつは、登場人物の短編集みたいだと
思っていたら、週末であれよあれよと縺れた糸が
ほどけだし、一つの道へと縒り合わされるのは、
暗い話であるのにある種爽快。
陽気なお話ではないですが、面白いです。