1800円 講談社


 今年の私的「本屋や図書館で、未読な本を見付けると

嬉しい作家さん」上位ランクの作家さんです。


 鎮火報の続きで、相変わらずキャラクターの誰もが
魅力的です。

 もっとも、実際回りにいたら倦厭しちゃいそうな
生真面目さんや、ヤンキーもどきさん、自分が主役でないと
気が済まないワガママ爺さんとそんな方々も一杯ですが…。
 主人公の雄大くんは、そのお馬鹿度が進化してしまったようですが、
何と言うかはっちゃけ系の少年マンガ主人公そのもので、
そのバカっぷりが愛らしく、目が離せません。

(しかし、この人こそ実際に周りにいたら
鬱陶しく思っちゃいそうなキャラでもあるよなぁ…。
 身長2m近い大男で、お馬鹿でって愛嬌あるけど
圧倒されそうだし)


 ミステリ、という程の謎はなくジャンル的には
何になるのだろうと考えてしまう小説ですが、
その勢いと魅力的な人物は、読んでいて楽しいの一言。

 ネタバレになってしまうので、名前は控えますが
作中の登場人物が、要所要所で思い出的に語られているのも、
最後ですっきり解決してくれます。

 …というか、前作からの続きにしては、あまりに唐突な
行方不明っぷりだったので、間に未読のシリーズがあるのかと
首を傾げてしまった。
 ただ、お話的に盛り上げる為だろうけどこの
作為は不要だった気もします。
そして自虐的に暴露ですが、自分も雄大くんと同レベルらしい…。
文中の言葉だけでは、この某人物がどこに誰の為に何しに
行動したのか、掴めませんでした…。


 少年マンガの『め組の大吾』というお話が面白かった人には
興味深い一冊になるかと思います。


日明 恩
埋み火―Fire’s Out

↑埋み火という同タイトルの小説、何冊かあります。

作者にご注意してご購入を。